十七話2/2 彼に向けた想い
二人と別れて家に入り、自室のベッドに身を投げる。
彼の優しい温もりが、未だ頭から離れない。
思えばいつの間にか彼が好きだった。
親友の幼馴染で、その子の恋人である彼。
金髪で水色の目をしている
それに傷付いて、隠れて泣いていた
その時は凄く優しくて格好良いくらいしか思ってなくて、そんな幼馴染がいる
しかし中学三年の時に、
またこの見た目で嫌なことや決めつけでものを言われる。それが凄く辛かった。
それなのに心無い言葉を、直接ではないとはいえ聞いてしまい、
ある日、天美君がその噂を他の男子から話されて、どう思うのかと聞かれていたのを見てしまった。
しかし彼は、噂話を楽しんでいる人達とは違った。
「それって実際に見たってわけじゃないんだろ?それなのに勝手にそういうこと言うのって、言われた側は嫌じゃないか?」
どうせ見た目で決めつけたんだろ?下らないと、彼はそう吐き捨てた。
天美君の言葉に嬉しくなって涙が出た。
別に
天美君は、聞き耳を立てて涙を流している
どうやら直ぐに彼らのところから離れたらしく、
今いる所は通り道だったから、彼がこちらに来るのも当然だよね。
「あっ、天美くん、ごめんね?その…気にしなくていいから!」
「…
「……うん。ありがとね、天美君」
涙を見られたくなくて天美君から顔を背けていると、そっと背中を撫でてくれた。
その手から伝わる温もりを感じると、凄く落ち着いた。
「っ…ごめん、つい」
全然気にすることなんてないのに、彼は
きっと気安いかとでも考えたのだろう、でも
「ううん、ホントありがとね。元気出た」
「そう?それは良かった」
天美君の目を見てお礼を言うと、彼は少し照れたように目を逸らした。
よく分からないところで照れる彼が面白くて、思わず笑ってしまう。
笑った
多分、天美君が好きになったのはその時。
あれから彼のことを気にしてばかりだ。
でも、天美君と栞は両思いだ。そして栞の妹、
彼はきっと栞を選ぶだろう。そうでなくもも衣織ちゃんがいる。
あの姉妹は本当にかわいくて、魅力的だ。
だから、せめて天美君の友達にはなりたいな…なんて考えていた。
しかしこれと言って接点がある訳でもなくて、あまり天美君と関わらない
夜に彼のことを想いながら、
それなのに、あんな状況で
人の…それも親友の彼氏の唇を不意打ちで奪うなんて、最低で
それも、あの状況を利用して文句を言われないようにだなんて考えて、本当に酷いことをした。
それでも、彼は
本当はハグしてほしかったけど、さすがに栞がだめだって。当然だよね。
その恋心は、次第に身体の疼きになって
敏感な所に自然に手が伸びて、彼の名前を何度も何度も呼びながら、こっそり撮った彼の写真を見る。
「はぁ…好透くん、好き…好きだよぉ……好透くん…」
盗撮なんていけないことなのに、親友の彼氏にこんな気持ちになっちゃダメなのに…そんな
彼への想いは、おさまってくれないね。
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