十三話 幼馴染から先へ
「
「お、いいね」
風呂から上がると、
様々な作品のキャラクターから好きなキャラを選択し、相手キャラを場外にぶっ飛ばせばいいというシンプルなルール故、人気のあるゲームだ。
「ぅぐ!あぁダメっ待っていくいく(場外)!」
「待たねぇよイけオラ(場外)!」
戦いは拮抗しており、互いに残機が一個しかなかった。
俺の猛攻に耐えられず、栞のキャラは場外に吹っ飛ばされ、ゲームセットの音声が流れリザルト画面に進む。
「くぅーもう少しだと思ったんだけどぉ!」
「残念だったな、今回は貰ったぜ」
悔しがる栞にドヤ顔を向けてやる。
「次こそ勝つから!」
「よしこい!」
あれから一時間以上プレイしたが、四勝三敗と、ギリギリ勝ち越している。
「あぁー好透強い!」
「いや栞だって大概だろ、こっちも普通に負けてたし」
栞と俺は実力は、ほぼ同じくらいだと思う。
「もー無理つかれたー、私の負け!えい!」
そう言って栞がこちらに飛び込んできたので受け止める。
「今回は俺の勝ちってことで」
「うー、今度は負けないからね」
いつもよりずっとお互いの距離が近い。
以前よりはこうも抱き合ったりしなかったし、口ではないにしろ、キスだってした事すらない。
しかしお互いが好きあっているということを知っているからか、ここ最近、栞の甘え方は留まることを知らない。
「きゅーけー!あ、これ読も」
栞は立ち上がると、本棚にある漫画を適当に出し、体操座りをして読み出した。
今の栞は薄手の白いシャツと黒のショートパンツという格好なため、本来であれば非常に目のやり場に困る。本来であればね。
しかし先日いくらでも見ていいと言質をとっているので、過ぎなだけ眺めることが出来る。
とはいえ先程読んでいた小説も大分終盤なのだし、気になっているので全部読んでしまおう。
ものの十数分で読み終えてしまったので、ふと栞に目をやると、とても無防備な姿をしていた。こんな姿を見せられるのは、家族を除き俺くらいのものだろう。
今週に入ってからの栞のアピールはあまり激しすぎる。
そんなこともあり、正直言って抑えが効かなかった。
しかしそんな状態の俺と栞は目が合い、そこから彼女は更に挑発してきて、俺はもう我慢をやめた。
感情のままに栞を押し倒すと、栞はそのままそれを受け入れ…俺たちは初めてのキスをした。
時刻は深夜一時を回り、あれから何度も求め合った俺たちは、疲れ果てて肩で息をしていた。
しかし流石にベタベタなので、シャワーを浴びるのは朝にするとしても、せめて体を拭かなければ不快で仕方ない。
タオルで栞の体を拭く。
彼女の体を拭き終わり、その頬にそっとキスをすると彼女はいきなり抱きついてきてディープな方までしてしまった。
身体を離して自分の体も拭き、綺麗になった体で改めて抱き合う。互いの肌が
栞が昔を思い出しながらゆっくりと語りかけてくる。
「ねぇ好透、中学生の時にさ…夜に私が泣いて、好透が駆けつけてきてくれたことがあったじゃない?」
「あぁ、急に優さんから連絡が来て驚いたよ。栞が泣いてると聞いたから、気付いたら走ってたくらいにな」
そう、家でゲームをしてると急に母が部屋に入ってきて、栞が泣きながら俺を呼んでいるというのだ。
泣いていると聞いた俺は気が付いたら駆け出しており、彼女の家へダッシュしていた。
「あの時泣いてたのはね、もし好透と離ればなれになったらどうなるんだろって考えてたから」
「栞と…はなれる…」
もしかしかた有り得たであろう未来を想像し、ゆっくりとオウム返しする。
たしかに、いくら幼馴染とはいえ毎日毎日手を繋いで登下校するという話は聞いたことがない。
そう考えると俺たちの関係は特殊かもしれないが、例えそうだとしても互いに支え合って生きていきたい、その手を離したくないと強く思う。
「どうしようもないくらい不安で、涙が止まらなくなって…それでも何を言えばいいのか分からなくて……そんな私を、何も言わずに抱き締めてくれたこと、すごく嬉しかったんだ」
「そっか」
どうすればいいのか分からなかったから、思うまま抱き締めただけだった。
しかしそれは決して間違っていなかったようだ。
「あの時から…ううん、ずっと前から好透の事が好き。でもそれに気付いたのはあの日なんだ。私の大事な思い出」
そう言ってはにかむ栞は、そっと頬にキスをして、ニコッと笑った。
窓から差し込む月明かりに照らされた栞はなんとなく神秘的に見えた。
あの日、胸の中で弱々しく泣いていた栞が、すっきりしたように笑顔になった時は、儚げでとても可愛かった。
憑き物が落ちたようにそっと微笑む彼女は、一番可愛かったのだ。
だからこそあの日
俺は栞に恋をしたんだ。
彼女の笑顔を見てその気持ちを思い出す。
たまらなく愛しい彼女をそっと抱き締めて呟く。
「栞、大好きだ。俺の彼女になって欲しい」
「っ…喜んで。私も好透が大好き」
互いに想いを伝え合う俺たちは、互いの足を絡め合い、幸せの
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