十二話 料理中に抱き着くのはやめましょう
下校中、色々と恥ずかしいハプニングはあったが無事に帰宅した。
夕食を作る為に食材を買いに行かなければならないが、その前に栞の着替えなどの荷物をこっちに置いておきたいらしい。しばらく待っていると、彼女はやってきた。
玄関から扉を開ける音がする。
「ごめんお待たせ、
今更であるが栞は合鍵を持っている。
家に着いたら好きに入ってこれるようにする為だ。朝、俺は寝てるからね。
「それ、置いてくるよ」
「ありがと」
栞から荷物を受け取り、リビングに置いておく。
ちなみに今は七月前半、もうじき期末テストを控えている。
夏に入ったからか夕方とはいえ暑い…早々に買い物を済ませて家に帰りたい。
ちなみに栞の服装はシンプルな半袖のTシャツに黒のショートパンツである。外に出れる程度のラフな格好ではあるが俺もそう大差ない。
綺麗な脚が眩しい。
相変わらずくっついてはいるが、何故だろう不思議と暑苦しく感じない。好きだからかな?
買い物に行くといっても、特に何かあったわけでもなく、無事に買い物は終了した。
帰宅し夕食のカレーを作っていると、後ろから栞が抱きついてきた。幸せー。
「包丁使ってるから気を付けてな」
「うん、ごめんね。邪魔しちゃって」
「んな事ないさ、もっとくっついててくれ」
本当はダメです、マネしないでね!
ちなみに抱き締める力はそう強くない。
なので存外動く時に干渉しないのだ。
「えいっえいっ」
「ちょっと?」
ぐいぐいっと胸を押し付けてくる。
しかも左手は少し下にあるし、もう少し手を下げたら当たる。ナニがとは言わないが…。
「おおきくなーれおおきくなーれ」
「こらっ」
流石に料理中には勘弁してくれ。嫌ではないが、危ない。
「えへへ…反応して欲しいなーって」
「なに言ってんだオメー」
なんてこった、二人きりのウチでお泊まりなんて初だからかテンションが上がっているらしい。
なんとか自身の欲を制し食材を炒める。
大きくならないことに少々残念がっていた。何考えてんだマジで。
「今は流石に危ないね」
「さっきも十分ダメだったけどな?ほんとは」
火を使っているからか栞が離れる。
マジで料理中は邪魔しちゃいけません。まぁさっき止めなかった俺が悪いけど。
慣れていても危険なのでやめましょう。いやマジで。
「これからは我慢しなきゃね」
「我慢した分その後でいっぱい抱き締めていいから」
そう言うと栞はうん!と嬉しそうに返事をした。
さっき俺も調子に乗ってもっとくっついてていいとか言ったことはマジで反省してます。
反省しながら炒めた野菜に水を加えて煮込む。
「今更だけど、先に風呂入ってていいぞ?」
マジで今更だ。しかし栞は首を振った。
「ううん、一緒に入ろ」
またまたとんでもねーこと言ってきましたよこの子は。いいぜ入ろーぜ!
「一緒は…
「えーそっかぁ…それじゃあ後で入ろうかな」
「おーけー」
残念がっているが、明日も明後日もあるのだ、焦ることはない。
温まってきたとはいえ鍋が
栞の額に軽くキスをしてやると、彼女は嬉しそうに顔を俺の胸に埋めてぐりぐりとしている。あ、俺の尻揉んでーら。
とても幸せな時間だが、じきに鍋が沸騰してきたので料理に戻る。
アクを取って中火でじっくり煮込む。
具材が柔らかくなってきたのでルウを入れて、弱火で煮込んで出来上がり。
「よし、これでいいかな」
「いい匂いだね、お腹すいてきちゃった」
全面的に同意である。
米も炊けてるし、盛りつければすぐにでも食べれる。
「お茶用意しといて」
「はーい」
その間に米とカレーを盛り付ける。
量についても勝手がわかるので敢えて聞くこともない。
「お、さすが好透だね。量もばっちり」
「そりゃ良かった」
伊達に好きな人を見てねぇよ。と言いたいがさすがにストーカーじみていると思ったので敢えて言わない。
「
あ、言っちゃったわ。
「えへへ、私も負けてらんないなぁ」
栞そう言って席に着いた。俺も合わせて席に着く。
「「いただきます」」
夕食も食べ終わり栞がお皿を洗ってくれているので、今のうちに風呂に入るためにタオルを置いておく。
「あ、タオルありがと」
「おう」
栞が入った後自分も入るので、今の内に自分の着替えも用意しておくことにした。
栞が風呂に入ってしばらく、小説を読みながらリビングで寛ぐ。
「お風呂ありがと、先にいただいたよ」
「おう、じゃあ俺も入るかねー」
栞が風呂から上がってきたので、続いて入ることにした。……栞の残り湯か…。
色々考えているとマズい事になるので、さっさと風呂に入る。
ちなみに風呂上がりの栞は少し上気していて、とてもエr…綺麗でした。
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