十一話 2/2 栞の決意
私たちの高校進学を機に
それから彼は実質的な一人暮らしとなっている。私は彼の母から合鍵を貸りて、毎朝彼を起こしに行くことにした。
私が好透を起こしに行く代わりに、彼が朝食を作ってくれている。
朝から彼の寝顔を見れて、朝食まで作ってもらえるなんて私にとって嬉しいことばかり。幸せな気持ちでいっぱいだ。
学校外で関わることはあるけど、校内ではそれぞれの交友関係もあってそこまで一緒にはいない。
登下校は一緒だが、それでも今ほどべったりというわけじゃない。ただ手を繋いでいただけ。
あくまで友人関係の距離感を続けていたけど、それでも不安はなくて、こんな日々が続くといいなと思っていた。
そんなある日、好透が私のことをじっと見つめてくるので、
しかし彼は
「何年の付き合いだよ、全然そんな目で見てねぇよ」
好透は昔からそんなに表情に変化がある訳ではない、その時も本気なのか照れ隠しなのかも分からない。それでもストレートにそう言われると少しくるものがある。
いつも好透が
それは彼なりの照れ隠しみたいなものかもしれないと思っていて、そこまで気にしていなかった。でも直接言われると少し堪える。
もしかして私の独りよがりだったのかな?なんて思った。
朝食を食べて、好透が着替えている間にソファに座っていつもやっているソシャゲのログインボーナスを回収し通知に目を通していても、先程のことを考えてばかりであんまり手が進まない。
そうこうしていると着替え終わった好透から声がかかる。彼が来ていたことに全然気付かなかった。
しかし彼は私の下着が見えていたから少し眺めた、だなんて言ってきて顔から火が出るほど恥ずかしかった。でもやっぱりさっきのは照れ隠しだったのかもと少しテンションが上がった。変態みたいだよね、見られて嬉しくなるなんて。
彼はさっき、私のことを全然そんな目で見てないと言ってた。
それはどういうことかと改めて問いかけてみると、彼は建前に決まってると言ってきて、思わず私は固まってしまう。
その真意は分からないが、その言葉を正直に受け止めれば、好透は私のことをそういう目で見ていることになる。
その後 改めてその真意を問い質すと、彼は私のことを''そういう目''で見ていると、はっきり言ってくれた。
いつもはちょっと素っ気ないくせに実際はそんな事を考えていたと知り、顔が熱くなっていく。
いつもそんな事考えてませんって雰囲気出してるから、ギャップもあって可愛く感じた。
しかもいきなり幸せだなんて言い出したし、びっくりすると同時に私も幸せだと感じる。
突然そんなことを言われて嬉しさのあまりつい私のことを大好きかと言ったら、彼は笑いながら違いないと言った。えっえっこれってつまり実質告白じゃん!
からかったつもりなのにこっちがやられてしまい、顔が熱くなる。
幸せの絶頂期だと錯覚するくらいフワフワとする感覚に包まれて言葉が出てこない。
あまりにも恥ずかしくなって彼の目が見れなくなり、思わず俯いてしまった。
そんな日の休み時間に、好透が飲み物が買いに行ったので、一緒に行こうと彼の後ろについていった。
追いかけるタイミングが遅れたのもあるけど、思いの外彼は歩くのが早くて着くころには彼が飲み物を取ろうとしてた。
いつもは私に合わせてくれているんだと知って、やっぱり好透が好きだと思った。
しかし、不躾にも彼に不機嫌な様子で声をかける女の子がいた、隣のクラスにいる佐藤さんだ。
彼女とはたまにしか話したことはないが、これといった印象はない。
彼女は、私にとって好透が邪魔であると嘘をついて酷いことを言った。それに対して好透がどう答えるか気になって、私はつい隠れてしまった。
しかし彼は、私たちの関係に ちゃちゃを入れられた事に苛立ち、絶対私には見せないような表情と声で、外野は黙ってろと佐藤さんを突っぱねた。
誰に何を言われようと、私との関係を大切にしてくれる好透に思わず惚れ直してしまい、その日の帰りは彼の腕くようにして更に密着した。好きな気持ちが抑えきれない。
いつの日か母が言っていた。
「恋をするならお
「女は度胸よ、 好きなら恐れずに想いをぶつけるの」
「責任が取れるのなら何したっていいのよ。ましてや学生の内なんて、ちょっとくらい困っても私たち大人が支えてあげればいいもの」
「変なことを考えて好透君が他の娘にとられてはいけないわ、少しくらい無鉄砲になりなさい。理屈や恥なんていらないわよ」
恋は理屈じゃなく気持ち。
取られてからじゃ遅いから、少しくらいはアグレッシブになってもいいのかな?
私も妹の
あの子から、好透が好きだなんて聞いた時はどうしようかと思った。でもお母さんはなんてことない様子で言った
「二人ともあの子が好きなのね。分かるわぁ、お母さんもあなた達くらいの頃なら絶対好きになってるもの。素敵な子よね」
「あら、取り合いなんて勿体ないわ。せっかく姉妹なんだし二人とも愛してもらえばいいじゃない。きっと好透君ならそうしてくれるわ」
母は、私と妹の衣織が好透を想っていることをとっくに見抜いていて、そう言って背中を押してくれた。
私もあの子も彼のことがどうしても好きだからと、姉妹で彼を取り合わない事にした。
彼が私たちのどちらかを選ばない限り、私たち二人を愛してもらいたい。本当は私だけの彼氏でいて欲しいけどね。
今回のお泊まりで一気に距離を縮めようと思う。
きっと好透なら手を出してくれると思う。
いっぱい抱き着きたいし、唇にキスだってしたい。ありったけの想いをぶつけよう。
確かに好きな人にアピールをする為なら、お淑やかであるより積極的であるべきだ。
だからこれからは、思う存分くっついてやろう。
私は好透の恋人になるんだ。
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