第2話「彼女とエッチするにはどうすればいいんでしょうか?(男性)」

 「あのー、どうしたら彼女とエッチができるでしょうか?」


 「そんなの簡単ですよ、「やらせて」って言えばいいじゃないの」


 「そんなこと言えませんよー」


 「君、童貞?」


 「ええ、まあ」


 「今いくつ?」


 「35です」


 「風俗とかには行かないの?」


 「なんだか怖くて、性病とかもらったらどうすんですか!!

 僕は初めての女性は彼女と決めているんです!」


 「なら死ぬまで待ってたらいい。

 以上です」


 「悩んでいるんですよ、僕」


 「おまえね、35にもなって、僕、僕、言ってんじゃねえよ、僕なんて言うのは小学生の子供か、悪徳政治家か、バカでエロくてがめつい経営者が言う言葉だ。

 だから童貞なんだよ! そんなんで女を抱けるわけねえだろうが!」


 「だって僕、いえ、私は・・・」


 「そもそも彼女って、あんたが勝手に思ってるだけじゃねえのか?

 付き合ってどのくらいなの?」


 「はい、3年6カ月と12日です」


 「きもっ! なんでそんなに正確に覚えてんだよー」


 「だって記念日ですよ、覚えていない方がおかしいですよ」


 「それでどこまで進んだの? キスはしたんだろう?」


 「そんな、キスなんて。 それはセックスの時にするものでしょ?」


 「おまえね、AVの見過ぎなんだよ! 俺に相談する前に心療内科に相談しな、いい医者を紹介するから。

 手を握ったことはあるだろうな、まさかな?」


 「までです。ありません」


 「その状態を世界では彼女とは言わない、それは「知り合い」だ。

 どこで知り合ったの?」


 「駅前のキャバクラ『エデンの北』です」


 「キャバ嬢?」


 「キャバ嬢じゃありません! 「みぽりん」です!」


 「わかったわかった、でもな、それはみぽりんのお仕事なの、営業、わかる?」


 「わかりません! だってラインも10回に1回はくれるし、デートだって2日に1回はしているんです。

 食事してお店に行って」


 「それは同伴だよ」


 「同伴じゃありません! デートです!」


 「わかったわかった、デートの同伴な」


 「どうしたらみぽりんとエッチできますか?」


 「無理だな」


 「どうしてですかー?」


 「おまえに魅力がないからだよ」


 「なんでそんな酷いことが言えるんですか! 会ったこともないのに。

 そりゃあ僕は、いや私は背も低いし、小太りメガネで短足で、髪の毛も寂しいですよ。

 そんなのわかってますよ、自分がモテないことくらい」


 「だからお前は駄目なんだよ。

 外見や条件で惚れる女は平気で裏切る、浮気するぜ。

 女はな、バカじゃない、自分がどれだけのレベルにあるか知っているんだ。

 だから簡単にはやらせてくれない、やらせたら男が変わるのを知っているからだ。

 いちばんタチの悪いのは、自分が美人だと思っている女だ。

 お前は外見ばかりを気にしている、歳を取れば福山雅治だってそうなるんだ。

 ならないかもしれないけどな。

 暴走族のあんちゃんたちを見ろ、可愛い彼女を連れてるじゃねえか、なんでだか分かるか?」


 「なんでですか?」


 「自信だよ自信、女はな、強い男に惹かれるものなんだ。

 外見で惚れる女など相手にするな!

 そんな自信のない、チンコだけビンビンの男にだれが寄ってくる?

 カネも女も追えば逃げるもんだ、自信を持て!」


 「自信を持て?」


 「そうだ、女を追うな、女を忘れろ、それがエッチへの近道だ!」


 「どうすれば自分に自信が持てますかね?」


 「損得を考えず、相手の立場で考えるということだ。

 そしてたくさん友だちを作れ、そうすれば女の方から「抱いて」と言ってくるもんだ」


 「わかりました! 私は自分の損を考えず、毎日みぽりんのためにドンペリを入れ続けます! みぽりんの為に! 彼女がお店でナンバーワンになるために!」


 「一生、オナニーしていなさい!

 はい、次の方!」

 

 

 

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