主人公A エチュード コンビニ

テーマ:1登場人物の外見的描写に重点を置く

テーマ:2登場人物の仕草に力を入れる

アプローチ:頭・顔・胴体足元の順序で描写する

アプローチ:相手の動きを見ている側の視線と動きを書くといい

例:髪を書く・首筋を書く

課題:主人公A とモブ、両方の視点をそれぞれ描く

課題:キャラクターの両方の外見を文中で描写する

     ————————————————


野衾桃華のぶすまももか足立里見あだちさとみが自動ドアをくぐると、

ドアチャイムに旋律を加えたような電子音が響いた。


「夕方の自然な涼しさもいいけど、やっぱり冷房が最強だよねー」


足立はいいつつ、小躍りするような足取りで店内に駆け込んだ。

揺れるオレンジブラウンのポニーテールが揺れる様子を野衾はぼんやり見ていた。


全体的に細身であり、細い手足が歩くたびに前後に揺れる。

校則規定ギリギリの長さのスカートから伸びる足と、黒いローファー。


(なんでこいつには彼氏がいないんだろう?)


野衾はそう思いつつ、足立の小さな背中を追った。


ファミリーマート戸張野とばりの店は明府めいふ街道に面しており、近所に学校や住宅街も多いせいか、それなりに広い面積を有している。


それでも、冷房と食欲で気力を回復した女学生二人が歩き回るには、やや狭いとも言えるほどの広さだった。


玄関口からすぐの菓子パンの棚を通り抜け、さらにその奥のジュース、清涼飲料水の冷蔵棚を華麗にスルーし、その真横に目指すものがあった。


店内に鎮座する大型フリーザーには色とりどり、種々様々な氷菓が並ぶ。

野衾たちのような学生が用があるのは概ね開放型のフリーザーだ。


しかし足立はあろうことか、店の奥にあるフタ付きフリーザーのガラスドアに上体をもたれ掛からせた。中に入っているのはロックアイスや箱入りの棒アイスである。


そして足立は気持ち良さそうに、ガラスドアにほっぺたを押し付けた。


「あーー、冷たい。気持ちいい」


「くおら、何やってんだお前!」


野衾はガラス戸に張り付いた足立の襟首を掴み、引き剥がす。


「お前な……、こんなのスマホで撮られたら即炎上もんだぞバカ」


「うええ、B組のせっちゃんもたまにやってるよ?」


子猫のように捕らえられた足立は、納得がいかない顔で抗弁する。


野衾はそこで、足立に恋人がいない理由をなんとなく悟った。


良い意味では天真爛漫、悪い意味なら傍若無人。


そう言い切っていいほどの超絶的なマイペース人間。

それが足立里見という女なのだった。


(それなりに付き合い長いけど、察したわ……)


「あのな……そういうの、子供が真似したらどうすんだよ?」


「ふふふ……あたし、このクソムーブで世界に爪痕を残すの」


「うるさい黙れ。ほら、ちゃんと立て」


「はーい、ノブったら厳しいなもう…」


引き剥がされた足立は、そのまま大型フリーザーに視線を移した。

どうやら避暑は諦め、アイスを検分する事に切り替えたらしい。


(こいつに付き合うのは、うちの学年の男子じゃ無理だな)


髪が空中を掃くように振れ、足立がくるり、と振り返った。

顔の中心にほんのすこし高く盛り上がった鼻梁、その上にある大きな瞳が野衾を見えげながら見つめ、薄いピンクの口紅をさした薄い唇に笑みが刻まれる。


野衾はその刹那、視線をフリーザーに移した。


「ノブ、アイスおごって」


こういう時、足立はたいてい何かをねだってくる。


「いやだ、断る」


その度に野衾は、概ね断固としてそれを拒絶してきた。


「うーん、やっぱり今回もダメだったかー」


「いいからさっさとアイス選べ、全く……」


野衾はそう言うと、押し黙ってアイスを検分する。


足立はアイスを選ぶふりをしつつ、野衾の顔を横目で見た。


まず目に入ってくるのは白い肌だ。


足立自身も肌を整える努力はしているし、薄いメイクで肌を白く見せたりはしている。しかし、野衾の肌は、同年代の女子から見ても際立つほど綺麗だった。


自分の肌の白が、打ちっ放しのコンクリートに塗られたペンキの白ならば、野衾のそれは純白の雪に比することができるだろう。


背中に届くほどのロングヘアーの黒髪が、白い肌とのコントラストを描き出している。高い鼻の上に乗った黒ぶちの眼鏡の奥の瞳は、今しがた手に取ったばかりのハーゲンダッツを静かに見つめている。


やや前かがみになってもわかる高い背は、恐らく170cm近くあった。


総合的に評価しても、野衾は自分や同世代の友人たちと比べても、際立った美人だと言っていい。


(あー、ノブと同じ学校で本当に良かった。でも……)


足立は、セーラー服のリボンよりやや下の、ささやかな膨らみに目をやった。


(胸は、あたしよりもちっちゃいのが残念だよね)


「おい、どこ見てんだこのバカ」


足立の視線に気づいた野衾が、足立の方に首を向ける。


「んー?目の保養」


「……はぁ」


野衾はいつものやりとりに疲れたのか、ハーゲンダッツをフリーザーに戻し、別のアイスを検分する事にした。片手で耳のあたりの黒髪を指先でつかんでねじりつつ、今度はしろくまアイスを手に取り、またフリーザーに戻した。


黒髪に隠された小さな耳と、揺れる黒髪。

足立には、この所作がどこか艶かしく思えた。


(ノブって、なんで彼氏いないんだろ?ほんと不思議)


そこで、足立は一つの理由を思いついた。


「ね、ノブ。あたし思ったんだけど」


「なんだよ、あたし疲れてんだけど」


「ノブって、喋らないと絶世の美女なのにどうして喋ると残念になの?」


「うるせえなあ、これがあたしの喋り方なの。変えるつもりねーから!」


『黙れば深窓の令嬢、喋れば山賊の首領』


これが、同学年のクラスメートの野衾桃華と言う女に対する評価である。


なぜ山賊などと言う古めかしい表現が使われたのかと言うと、少年誌に載っている海賊漫画に、野衾と同じ字数の山賊が出てくるからである。ついでに言うなら野衾はそのキャラクターを愛好しており、それも『山賊』の呼び名に拍車をかけた。


「もういいや、これにしよう」


野衾は、いつもの大きくて安いカップのバニラアイスを手に取った。


「じゃ、あたしもそれにする」


足立も同じものを手に取り、二人はレジで会計をした。


「イートイン使お、ね?」


「ちょい高くつくけど仕方ねえな。先、席とっとくわ」


野衾はそう言い、さっさと会計を済ませて歩き出した。


背中で、流れるように揺れる黒髪に、スラリと伸びた長い足。


(やっぱり美人すぎ、こりゃ同学年の男子じゃ歯が立たないわ)


     ————————————————

          リザルト


テーマ:1登場人物の外見的描写に重点を置く☑︎

テーマ:2登場人物の仕草に力を入れる☑︎

アプローチ:頭・顔・胴体足元の順序で描写する☑︎

アプローチ:相手の動きを見ている側の視線と動きを書くといい☑︎

例:髪を書く・首筋を書く

課題:主人公A とモブ、両方の視点をそれぞれ描く☑︎

課題:キャラクターの両方の外見を文中で描写する☑︎

     ————————————————

自己評価:前回よりは主人公Aの外見描写ができた。

しかし、主人公Aの描写が薄いため、次回は主人公Aの描写を主に描写する事。


恐らく、集中力が途中で尽きてしまったためだろう。

今のところ、主人公Aの外見描写に戸惑いがある。

きちんとキャラクターを作り上げるためにも、きちんと作っていく事。









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