第3話無視する若者たち

昨日の事だ。

地下鉄の階段を上っていると、途中で手すりに掴まりながら、重い荷物を持った女性がいた。

足が不自由らしく、

「荷物、持ちましょうか?」

と、言ったら、女性は口もきけない方だったので、僕にお辞儀をした。

僕は、その女性が階段を上る時に、若者たちがどんどんその女性を追い抜くのを見ていた。

一声もかけない。

僕も3年前までは、背骨を骨折して金属プレートで固定し、右足が不自由でツエをついていた。

今は、精神障がい者なのだが。

僕はヘルプマークをぶら下げているのに、若者たちは僕らを無視して通り過ぎる。

かなり重たい荷物だった。

右手に傘、左手に荷物を持って地上まで歩いた。

女性は足が不自由なので、地上に出るまで10分程かかった。

僕は女性の到着を待ち、ここに荷物置きますねと言って去った。

荷物には、車輪が付いていたので、女性はそれを押しながら歩いて行く。

全身から汗が吹き出した。

障がい者が障がい者を助ける時代。

健常者であろう若者たちは、一体どんな教育を受けて来たのか?

高校生も、大学生も行き来する地下鉄。

頭が良くても、人の痛みを知らないヤツらは、豚にも劣るクソ人間だ!

僕だって、ハァハァ言いながら階段を上り、その後は達成感がした。

だからと言って、凄い事をした訳ではない。

当たり前の事をしただけだ。

その当たり前の行為を若者たちは出来ない。

そのクセに、モラハラだのパワハラだのほざく。

人間出来てないクソ人間が、それを主張するのは大きな間違いだ。

昨日は、しばらく頭に血が昇っていた。

これを書いているのは、前日の夜。

睡眠薬切れたから、眠る事は諦めよう。

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