魔王と勇者と幹部共⑩

「エリっちにだすためのテストにまおーさまのへやへしのびこむというもんだいをだしたのちへやのなかにかってにはいってベッドのうえでとびはねていましたちなみにまおーさまのへやにはいるのはきょうでにひゃっかいめくらいになるとおもいますそのうちなんじゅっかいかはおかしとかたべたりもしてましたあとけっこうなひんどでまおーさまがねているすきにへやにしのびこんでねがおとかみたりしてましたごめんなさいまおーさまだからロルちゃんのこときらいにならないでえええええええええええええええええええええええええええええええっ!」


「…………」


 いや、確かに許すとは言ったが、二百回て……。ほとんど二日に一回の割合じゃねぇか。

 そこまでいったら遊びに来ると言うよりほぼ住んでるレベルだろう。


 あと寝顔を見に来るって何?怖すぎない?

 そしてそれにまるで気づかない俺も俺だ。ボケが始まっているのか……?


 無駄にショックを受けていると、怒っていると勘違いしたのかエリスがやんわりと口を挟んでくる。


「あの、魔王さま?あまりロルちゃんさんを責めないであげてください。魔王さまを困らせようと思ってしているわけじゃないと思うんです」


 巻き込まれただけなのにロルデウスを庇おうとするエリス。

 今日のうちに一体どこまで俺の中のエリス株を上げるつもりなんだろう。

 まぁ、幹部達の株が勝手に落ちていくから相対的に上がっているように感じるのかもしれないが。


「え、エリっちぃ……!」


 涙を流してエリスを見上げるロルデウス。

 庇ってくれるだけでも好感度うなぎ登りだろうに、


「大丈夫ですよロルちゃんさん。わたしも一緒に怒られますから、もう一度ちゃんと謝りましょう?」


 なんて優しい言葉をかけるものだから、ロルデウスは完全にエリスに心を明け渡したようだった。


 そして宣言したとおり、


「「申し訳ありませんでした、魔王さま(まおーさま)」」


 と誠心誠意謝られてしまえば、当然怒る気なんてすぐに霧散してしまう。

 まぁ正直に言えばそこまで怒っていたわけでもないのだが。


「わかった。エリィに免じて謝罪を受け入れよう。ただし、今後我の部屋に無断で入ることは禁止だ。どうしても入りたいのなら許可をとれ。いいな」


「はぁい!ありがとーございます!まおーさま!」


「よかったですね、ロルちゃんさん」


「うん!エリっちのおかげだよぉ!ほんと、ありがとねぇ!」


「それとロルデウスよ。ここまでエリィに良くしてもらったのだ。何か言うことがあるんじゃないのか?」


「はい!わかっております、まおーさま!」


 すると、すっかり元気になったロルデウスはエリスに指を突きつけて高らかに宣言した。


「エリっち、合格!」


「え?合格?でもテストは……」


「もういいのっ!エリっちがどんな人なのか、ロルちゃんわかっちゃったから!とぉっても優しくて、とぉってもいい人なんだって!」


 そう言うなり、ロルデウスはエリスに抱き着いて笑顔を振りまいていた。

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