第21話 落ちこぼれvs才女

 あれから試合が開始され、みんなが戦っている中、僕とユイガは待合室で作戦を練っていた。


「どうする?」


ユイガが聞いてくるが、正直彼女たちに勝てる見込みがなかった。カナならまだしも、レイナが相手となると2対1で戦っても勝てるかのどうかの相手だ。そんな二人がタッグを組んでいるのだ。いったいどうしたらいいのやら。


「あ。」


そこで僕はある案を提案した。その案を聞いてユイガは少し不安そうな顔をした。


「どうかしたの?」


「だって、そうしたら。」


「大丈夫だって。僕には確信があるから。」


「そうか。じゃあ、俺もしっかりしなきゃな!頑張ろうぜ!」


そういって、僕たちはハイタッチをし、競技会場へと足を踏み入れたのだった。








 足を踏み入れたのと同時に、あたりが騒がしくなる。その声はまさに一人の巨人が叫んだと思えるほどの、大きな声だった。そして、反対側から二人の少女が現れる。その少女たちに僕は見覚えがあった。一人は、今までお世話になった、いわゆる師匠的な存在。もう一人は、僕がAクラス15位との戦いで助けた少女。その少女たちは今までとの雰囲気とは打って変わり、純粋な敵意をむき出しにしていた。


「まさか、あなたたちと戦うことになるなんてね。」


「ああ、僕も正直驚いたよ。」


「まあ、こうなってしまった以上、戦うしかないわよね。」


そういって、彼女、レイナは戦闘態勢に入る。それと同時に、カナも戦闘態勢に入る。


「ユイガ、行けるか。」


彼は自信にあふれた顔をしながら言う。


「バッチしだ。いつでもいいぜ。」


その言葉に応じ、僕たちも戦闘態勢に入る。それを見て、審判はその手刀を、はじめの合図とともに、振り下ろすのだった。








 それと同時に、僕とユイガは一直線上に突進する。


「ばかね。二人同時に突っ込んでくるなんて。」


彼女は手のひらを僕に向け、巨大な魔方陣を展開する。


「そのまま二人もろとも戦闘不能にしてあげる。」


だが、次の瞬間、僕たちは二手に分かれる。


「引っかかったな。」


そうして僕はレイナへと攻撃を行う。前の僕の攻撃であれば決して受け止められよう攻撃だった。だが、今の僕と前の攻撃は打って変わっていた。そのおかげか、それとも油断していたのかはわからないが、その攻撃はレイナにヒットする。


「なかなかやるわね。まあ、無駄なんだけど。」


そういった次の瞬間、レイナについた攻撃の跡はなくなっていた。


「回復魔法か。ユイガから聞いたことがある。」


「じゃあ、この魔法がある限り、あなたには勝ち目がない。というのはわかりきっていると?」


「いや、違う。」


僕はその言葉を真っ向から否定した。なぜか?それはいたって単純。僕には作戦があるからだ。そう、さっき練っていた作戦が。その作戦があるからこそ、僕はその言葉を真っ向から否定したのだ。


「じゃあ、これでも?」


それと同時に水があたり一面に広がる。その水はだんだんと広がっていき、最終的に、水平線のような美しい景色が広がっていた。だが、その魔法に僕は警戒をしていた。


「この魔法はね、水魔法とある魔法をかけた魔法なのよ。なんだかわかる?」


なんだかわからないが、僕は直感で答えた。


「多分、雷魔法だと思う。」


「そう、大正解。じゃあ仕掛けもわかったことだし、頑張ってよけてよ?」


「上等だ。」


すると水面一帯がスパークをまとい始める。次の瞬間、僕は思わず風魔法を使っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る