第10話 決着

 そうして俺は、目を覚ました。あたりを見渡すと川辺ではなく、森の中にいることに気がついた。どうして。そう疑問に思っていると、近くから足音が聞こえた。こっちに来る。そう思ったときには俺は戦闘態勢に入っていた。だが、そうして現れたのはほかでもないレイナだった。


「あら、起きたのね。」


俺は安堵し、レイナにあいつがどうなっているのか問うことにした。もし戦っているのなら、援護しにいかないとだしな。


「あいつはさっきの男と戦っているわ。だけど、だからといって行っちゃいけないわよ。」


「なんでだ?増援にいったほうがいいだろ。」


「確かに普通ならそのとおりなんだけどね。あいつは今、自身の力であの男に勝とうとしているのよ。自身のこれからのためにも、ね。」






 僕は苦戦を強いられつつも戦っていた。拳が飛来するも、紙一重でその攻撃を避ける。だが、男はそれを見越していたのか、僕が回避した場所に攻撃を仕掛けていた。


「っ...!」


僕はその攻撃を風魔法でいなす。それと同時にカウンターを放つ。男はそれを避け、僕の腹に攻撃を放った。数十メートル後方に吹き飛ばされ、男が到達する間のほんの僅かな時間の中、僕は思考してた。


 風魔法をあいつに使えば、応用され逆にこちらが不利になる。そしてさっきの戦いを含めて気付いた事がある。あの男、魔法攻撃を使っていない。おそらく何らかの原因で使えないのだろう。だからといって、魔法を使っていないと流石にAクラスまで上り詰めることはできないだろう。ならばあいつが使う魔法は何だ?


 その直後、男が僕の眼前にまで到達していた。思考していたせいか僕はやや反応が遅れてしまい、大ぶりの回避をしてしまい、隙を晒してしまった。そしてさらに男の攻撃が放たれるが、僕はさっきと同じ戦法を使い、攻撃をいなした。


「おいおい、さっきから同じことばっかしやがって、そんなんじゃ俺に勝てねぇぞ!」


そしてまた、攻撃をもろに食らった。そしてさらに男の猛攻は続くのだった。








 あの戦いからしばらくして、僕は疲弊しながら男を見つめていた。そして、僕は新たなる風魔法の応用方法を生み出していた。だとしても、届くかどうかはわからない。僕は弱い。だけど、ここを突破しなければこれから生き抜けるわけもないだろう。だからこそ、ここでこの男に、勝つ!そうして僕は風魔法で追い風を生成し、高速で男へと接近し、剣を思い切り振りかざすのだった。






 俺が編み出した魔法。それは『魔法攻撃で受けるダメージを軽減する魔法』だ。このおかげで俺はAクラスまで上り詰めることができた。だが、この魔法にはデメリットが存在する。そうそれはこの魔法を発動している間、他の魔法が使えない。というものだった。


 そしてそいつは俺を倒すという固い決意を抱いた目つきで見つめてきた。俺は魔力が尽き始めており、疲弊していた。だが、Cクラスである落ちこぼれに負けるわけにはいかなかった。多分、こいつはこの一撃で決めるつもりだろう。そしてもちろん俺も、あと一撃で決めないと魔力が尽きる。次で決めると俺は決意し、そいつに接近し、攻撃を放つのだった。

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