第9話 第二ラウンド
そうして僕は目を覚ます。すると目の前には、なぜかレイナがいた。
「どうして、ここに?」
「あんたを探しにここに来たのよ。そんなことよりも、ほら。治ったわよ。」
そういわれ、僕の体が治っていることにようやく気が付いた。
「ありがとう。」
「どういたしまして。というべきなんでしょうけど、あいにくと今は時間がないのよ。ほら、ついてきなさい。」
「あ、あの...。」
そこで、彼女がレイナに質問をする。
「あなたたちはどうしてメリットもないのにあいつを追おうとしているんですか?コインもとられてないようですし。」
僕はしばらく考え込み、やがてこう答えた。
「さっきまではたしかにメリットはなかった。けど、さっきの戦いで僕はあいつに勝ちたいと、そう思ったんだよ。だから、これは僕にも君にもメリットがある。それでいいじゃないか。」
「で、でも...。」
「まあ、細かいことはいいんだ。君はここで待っているだけでいいから。」
そういい、僕はレイナのもとに行く。
「話は終わったのね?」
「ああ、ばっちり。」
「じゃあ、行くわよ。」
そういわれ、僕はレイナに連れられるようにその場所へと向かうのだった。
そこには、倒れて傷だらけになっているユイガがいた。僕はそこに駆け寄ろうとするが、なぜかレイナに止められた。
「どうして止めるんだ!ユイガが倒れてるんだぞ!」
「いいから、少し周りを見てみなさい。」
そうして僕はあたりを見渡した。すると近くの草木の茂みの影に隠れているさっきの男がいた。
「あいつ...」
「そう、つまりこれは囮よ。」
「つまり僕は、あのままユイガに駆け寄っていたら...」
「いまあんたが考えていることと同じことが起こっていたでしょうね。」
「だとしてもあのままってわけにもいかない。そして、僕は友達をこんな目に合わせたのが許せない。」
「そうね。じゃあ、私に案があるわ。耳を貸しなさい。」
そういって、レイナは僕に作戦内容を伝えた。
そうして僕は、その作戦を実行することにした。レイナにアイコンタクトをとる。答えはYES。それでは、始めよう。
「おい、そこにいるのはわかっているんだ。」
すると、さっきの茂みから男が現れた。
「なんだ、気づいていたのか。」
「まあな。」
実際は、レイナのおかげなんだがな。
「それよりも。だ。」
男はあたりを見渡し、こういった。
「よかったのか?あいつを連れてこなくて。」
「あいつ?レイナのことか?」
「そうだ。連れてくればこの戦いは余裕だったのにな。まさかそれすらも棒に振るとは。本当にお前さんは馬鹿だぜ。」
「いいや、バカじゃないな。」
そうして僕はそいつを挑発する。
「僕一人でも勝てるとでも思ったからだ。Aクラス15位。いや、オルト君?」
「なめんなよ?クソガキが!」
そうして、僕とオルトの第二ラウンドが幕を開けた。
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