第6話 Aクラス
「さて、と。」
僕は周囲の景色を見渡しつつ今後について思考していた。見たところ、運よく森と川辺が近くにあるので食料は問題はないだろう。だが一つ気がかりがある。それはほかの生徒が食料を求めて集結し、ここが戦場になるということだ。
「ん~。なら、できる限り今日あたりで食料を確保して明日以降からはこのメダルの保持に専念しよう。」
そうして、僕は魚を焼くために必要な木材をとりに行くため、森へと足を運ぶのだった。
あれから数時間後、僕は木材を抱えて森林を歩いていた。十分木材も確保できたことだし、さて帰るか。とそう思っていた時のことだった。遠くから爆発音が聞こえた。
「戦闘が起こっているのか。だったら早めにこの森から出たほうがよさそうだな。」
そう思って、速足でその森を後にしようとしていたのだが、爆発音が近づいてきていた。
「うそだろ!?」
僕は慌てて逃げようとするが、時すでに遅しといったところだろうか。僕は、その戦闘に巻き込まれてしまうのだった。
「へっ、もう一匹釣れるとはな。」
目の前のガタイのイイ男はそういいながらぼくを見つめてきた。僕の後ろでは青髪で僕と同年代であろうと思われる女子が息を切らしながらその男をにらんでいた。
「大丈夫か?」
そう僕が女子に言葉をかけると
「はい。大丈夫です。」
「ところで、あいつはいったい何なんだ?」
そう問うと彼女は本当に絶望したような顔を浮かべながら、こういった。
「Aクラス第15位、オルトです。」
そういえばAクラス総勢20人には強さ順にランキング付けされていると聞いたことがある。そのうちの15位。油断はできないな。
「いったい何の話をしているんだか。少々興味はあるが、そんなことは今はどうだっていいか。まぁ、こいつら2人さっさとまとめて片づけるか。」
男が戦闘態勢へと移行する。それと同時に、僕も剣を取り出し、構える。両者ともに攻撃を仕掛ず、ただ互いを見つめていた。だが、そんな静寂を打ち破ったのは彼女の冷や汗がしたたり落ちる音だった。直後、両者が一斉に攻撃を仕掛ける。一目だけでは互角の戦い。だがオルトが僕をじりじりと追いつめていた。
「っ...!」
僕は苦し紛れの斬撃を放つが、いともたやすくよけられ、僕の顔面に彼のこぶしが炸裂する。僕はその痛みに一瞬たじろいたが、すぐさま風魔法を使い、攻撃に転じる。
「風は、敵を引き寄せる!」
彼は僕へと引き寄せられる。そうして僕が攻撃を放とうとしたとき、彼はその風を利用して爆発的なスピードを得た。そして今度は僕の腹部にこぶしが飛来した。そのせいで僕は数百メートル後方へと吹っ飛ばされる。そしてスピードが落ち、僕が受け身をとり反撃転じようとしたその瞬間には、僕の眼前にあいつがいた。
「これで、眠りな!」
そうして僕は彼が放つ拳を何度も何度もくらい、次第に意識が薄れ始めていた。それと同時に自身の力のなさを思い知った。久しぶりの敗北感。それと同時に責任感が募る。僕がここでもう学校生活は終わりかとそう思っていると、遠くから見覚えのある2つの声が聞こえた。
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