第5話 試験前夜

 あれから僕は、ユイガと他愛もない雑談を繰り広げていた。そして気づけば授業も終わり、帰りのホームルームが始まった。


 そしてホームルームが終わろうとしたとき、先生がちょっと待てと制止する。先生が立ち上がり、生徒へこう告げた。


「今日からちょうど1か月後、第一次試験を始める。」


あたりがざわつく。それはそうだ。だって何の前置きも前兆もなかったのだから。それを聞いて、ユイガが質問する。


「先生、試験はどういう内容なんですか?」


先生は考え込み、やがて申し訳なさそうにこう答えた。


「ルールは試験当日に発表されるため、今は言えない。」


ユイガはシュンとしながらわかりましたと言いながら、席に着いた。


 そうして初日の学校生活は終わりを告げた。






 その日の夜。僕はある人物のもとへ訪れていた。僕はそいつの部屋の前に立ちながら、ノックする。すると一人の男子が現れた。


「どうしたんだ?こんな遅くに。」


「いや、なに。ちょっと僕の特訓に付き合ってほしいなって。」


そう、ある人物はほかでもないユイガだった。ユイガは眠たそうにしながらも考えるしぐさをしながら、


「まぁ、いいぜ。で、どういう特訓だ?」


「そうだな。」


そう僕は考えつつ、こういった。


「模擬戦とかどうだ?」


するとユイガは納得がいったような顔をしながら


「いいぜ付き合ってやるよ。」


と言ってくれた。


 それから一か月間。僕たちはただひたすらに模擬戦を繰り返すのだった。






 あれから一か月後、いや試験当日といったほうがいいか。そんなこんなで僕たちは学校側から指定された場所に来ていた。とはいっても、ただのへいげんなんですけどね。


「にしても、人が多いな。多すぎて俺たち埋もれちゃいそうだな。」


ユイガが冗談交じりにいう。


「まぁ、確かに多いな。」


ざっと数えて3000人程度だろうか。いやそれ以上の4000人はいる。やはり最高峰ゆえに入る人数も多いのか。さすがとしか言えない。だとしても、だ。こんな場所へ生徒を一か所に集めるなんて、いったい学校側は何を企んでいるのやら。そう思考していると、校長が生徒たちの目の前に現れこういった。


「え~今から、第一次試験の内容とルールを説明する。まずおぬしらには3日間無人島で生き抜いてもらう。じゃが、ただのサバイバルではない。これを見るがよい。」


そういいながら校長はぽっけとから何やら金色のコインらしきものを取り出し、見せつけてきた。


「各生徒にこのコインを1個ずつ配布する。そして、このコインが0枚のものは失格。1枚あればCランク。2枚から4枚あればBランク。それ以上はAランクとみなす。つまり、この試験は人員を割くだけではなく、ランク変動のチャンスでもあるのだ。それでは、」


校長は一泊をおいて、指パッチンをする。するとやがて視界が暗転し始めた。






 スナップ音が止み、視界が戻った時には、無人島にいて、さっきまでいた大勢の生徒がいなくなっていた。僕が困惑してると、脳内から声が聞こえた。そいつは咳払いをしながら


「それでは第一次試験、開始!」


というのだった。

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