第28話
もう無理かもしれない。
聖は、がっくりと肩を落として思った。
次の日である。
聖は悪友に相談した。
「お姉ちゃんが怒って、僕を嫌悪する。どうしたらいいの?」
「一度剥がれたものは、もう元通りには貼れないのだ。それくらい、二人の結びつきは脆かったんだ」
悪友はニヤニヤしながら、白い歯を見せて笑った。
「復讐しようとは思わないのか?」
「え? どうして復讐なんて」
聖はびっくりして聞いた。
「お前の姉はあんまりだ。恨まれたって仕方ないさ」
「恨むことなんてないさ」
「殺してやれ」
その言葉を聞くと、聖の中で何かがカチッとはめ込まれ、甘美な泥酔が胸に訪れた。
「まあ、冗談だ」
悪友は言ったが、聖は夢うつつだった。
殺す!
お姉ちゃんを!
お姉ちゃんの死に顔をみる!
今思えば、恨みの気持ちがあったのかもしれない。それが萌していたのかもしれない。好きな裏に嫌いが隠れてでもいたように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます