第22話 テスト勉強と少しの会話
放課後の教室。
補習の勉強する為に、小梅、尚也、真心、悠真、朱里、海斗が残っていた。
「悠真、これは…この公式を…うん、当ってる。」真心は真剣に悠真に教えていた。
悠真は珍しく集中してるかと思いきや、やる気がない様子だった。
そんな2人を見て、小梅は笑っていた。
小梅は、悠真がやる気がなくても、勉強に応じてるのは、真心が教えてくれるからだろうと思っていた。
そして、次は朱里と海斗に目線を向けた。
2人とも仲良く居眠りをしていた。
似たもの同士の夫婦とはよく言ったものだ。
その言葉がこんなにピッタリはまるのは、朱里と海斗だけだろう。
小梅がふふっと笑っていると、隣に座っていた尚也が不思議そうに小梅を見つめた。
「小梅、どうしたの?」「なんでもない。あ、そうだ。これあげる」小梅は、キャラメルラテを尚也の頬に当てた。
「ありがとう」尚也は真顔だったが、耳が赤い。
喜んでいるのだろう。
小梅はふと思い出し、「尚也くんって兄弟いるの?」と聞いた。
あまり尚也の事を知らないと気づいたのだ。
尚也はキャラメルラテを飲むと「結婚して子供できた兄がいる。」と答えた。
小梅は目を輝かせた。「いいな〜。姪っ子か甥っ子いるって事でしょ?私も兄いるけど、まだ結婚してないんだよね〜」もし、流星に子供が出来たらと考えると楽しみで仕方がない。
本人は結婚する気があるのかわからないが。
尚也は「小梅のお兄さん…いつ結婚できるんだろうね」とつぶやき、小梅が今つけているネックレスに触れた。
兄から貰った、赤いハートがついたネックレス。
尚也は目を細めて、手に取った小梅のネックレスを見つめた。
◇◇◇◇
「ただいま〜」小梅が家に帰ると、流星が玄関で待ち構えていた。
「流星兄ちゃん、待っててくれたの?」小梅は流星の側に駆け寄った。
流星は「これ、どう言う事だ?」と小梅の34点のテスト用紙の写真を見せた。
小梅は焦った。
音色的に、流星は怒っている。
「優大に教えてもらったんだけど、これ…赤点だよな?」流星は笑っていたが、怒りを隠しきれてなかった。
「えっと…」赤点組の中では、1番点数良かったし〜と心の中でつけ加えた。
「小梅、飯食って、風呂入ったら部屋に来い」とだけ言われ、流星はどこかに行った。
確実に怒られるのは承知だ。
◇◇◇◇
「そう…これは、公式を入れて」夜になって、流星は丁寧に勉強を教えた。
教え方は丁寧だが、やはり音色がまだ怒ってる。
小梅は流星を見上げた。
「疲れたか?ちょっと待ってろ」流星は部屋を後にしたかと思うと、少しし、マグカップとビスケットを持って帰ってきた。
マグカップから、コンスープの香りがした。
「ちょっと休憩しよう。はい、これ」流星はビスケットの袋を開けると、小梅に渡した。
「ありがとう」小梅はビスケットをもぐもぐと食べた。
流星は自分の分のコンスープを飲むと「で、小梅。最近どう?」と聞かれた。
小梅は少し考えて「尚也くんっていう…病室ですれ違ったメガネ男子の子と仲良くなったよ。」と答えた。
流星は少し笑い「そうか」と答えた。
そして、小梅の首につけているネックレスを見ると苦笑した。
「小梅…いや…なんでもない」流星は目を伏せた。
小梅は不思議そうに首を傾げた。
そして、尚也の会話を思い出し「流星兄ちゃんって結婚しないの?」と聞いた。
直球に聞けるのは、兄妹だからだ。
流星は一瞬驚いた顔をしたが、すぐ優しい笑顔になり、「考えてないかな。兄ちゃんが結婚したら、小梅悲しむだろ?」と答えた。
「いつの話してるの?それ言ったの、6歳くらいじゃない?」小梅は苦笑した。
流星からしたら、小梅はまだまだ小さい子供なのだろうか。
そう考えると複雑だ。
「そうだよな。小梅じゃなくて…俺が…」最後の方が聞き取れなく、小梅は「なに?」と聞き返した。
「いや、なんでもない」流星はため息を吐くと「勉強再開するぞ」と言った。
小梅が「嫌だ」と言い、流星は「一応、まだ怒ってるからな」と言うと、小梅はすぐ勉強を再開した。
そんな小梅を微笑ましく思い、そっと小梅の頭を撫でた。
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