第20話 久しぶりの学校

「流星兄ちゃん〜そろそろ学校行くね」朝の7時半、小梅は居間にいる流星に声をかけた。

資料を見つめていた、流星は顔を上げ「行ってらっしゃい。頑張れよ」と優しく微笑んだ。


◇◇◇◇


8時を過ぎ、教室に入ろうとすると、「小梅ちゃん〜」とスマホのカメラを向けた、朱里がドアの前にいた。

小梅は予想通りで思わず笑った。

「如月〜やっと来た」後ろには

海斗が明るい笑顔を向けていた。

そして、続いて「小梅ちゃん」「如月〜」と真心、悠真、恵麻、翔、結愛に、意外にも尚也がいた。

「小梅ちゃん復活〜」「いえい〜」女子達は盛り上がり、ハイタッチをした。

小梅は男子3人を見ると安心したように笑った。

「怪我治ったみたいだね。」小梅の言葉に、海斗は少し笑った。

「あの時、倒れた如月に心配されるとは思わないな」「本気で心配してたよ。特に尚也が」翔はいたずらっぽく笑い、尚也に目線を向けた。

尚也は表情を変えなかったが、耳が赤くなっていた。

「別に。目の前で倒れたから」と素っ気なく答えた。

「ありがとう。尚也くん」小梅は尚也に微笑んだ。

尚也は照れたように、首に手を当てた。

「あれれ〜?小梅ちゃんと尚也、怪しくなってない〜?」朱里が2人をみくらべ、いたずらっぽくカメラを向けた。

「怪しくないよ〜」小梅は苦笑した。

尚也は「やめろって」とカメラのレンズを手で隠した。

「いいだろ?如月も甘い物好きだって真心から聞いたし。気が合うんじゃね?」悠真はいたずらっぽく笑った。

尚也は耳を赤くしたまま、少し悠真を睨んだ。

すると「さて、小梅ちゃん。今日からの意気込みは?」と朱里が先を進めた。

小梅は苦笑し、少し考え「とりあえず、今までの分の甘いもの食べるのと、体育祭の陸上の練習したいです〜」と答えた。


◇◇◇◇


少しし、昼休みになった。

海斗、悠真、翔、尚也は机を囲み談笑していた。

やはり、男子学生だからか、飲む物は缶コーヒーが定番になっていた。

小梅はその姿を見て、苦笑した。

特に、尚也はクールなタイプなので、ブラックコーヒーなんかを飲むのかと、尚也の手元に目線を移すと、目を丸くした。

尚也の手には3人とは違い、いちごミルクのパックが握られていた。

「ギャップ萌え〜」肩越しに誰かに囁かれ、小梅は「わっ‼️」と驚き、振り向いた。

そこには、朱里がいたずらっぽく笑っていた。

足音も無く近づいてきたので、全然気づかなかった。

小梅はバクバク音を鳴っている心臓を抑えつつ「なんで…わかったの?」と聞いた。

朱里は面白そうに笑いながら「だって、ずっと尚也の事見つめてるもん。」と答えた。

そして、小梅の手元を見て微笑ましそうにした。

「小梅ちゃん。そのティラミス、尚也にあげたかったんでしょ?」朱里の質問に小梅は頬を赤らめた。

朱里が言ったことは図星だった。

「ほら。私達、海斗達とは一緒にご飯食べるつもりだし、尚也の隣座らせてあげる」朱里はウィンクをすると、海斗達の元へ駆け寄り、いつもの8人で昼食を取る事にした。


◇◇◇◇


「尚也くん、これ」小梅はティラミスを尚也に渡した。

尚也は目を丸くした。

その仕草に、本当に甘い物が好きだと伝わる。

「尚也くんには感謝してるし、今までの分の甘いもの取り返すの、同じ甘党の尚也くんに付き合ってもらいたいから」小梅はふふっと明るく笑った。

すると「へー。如月って意外に人たらしの才能あるんだな」と悠真が尚也肩に腕を置きながら笑った。

「確かに。流星がそう言うタイプだったから」後ろから声をかけられ、小梅は少し驚き振り返った。

「優大先生!!」「ちゃんと食事してるね。感心感心。」優大は小梅の頭を撫でた。

すると「ねぇ」と尚也が小梅の腕を少し自分の方に寄せた。

尚也との距離が縮まり、小梅の心臓はバクんと音が鳴った。

「ティラミス、ありがとう。甘い物食べるの付き合ってあげるから。小梅…」小梅の心臓は更に音を立てた。

色々と理由があるが、一番の理由は名前で呼んでくれたのだ。






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