第14話 面白い日常

お昼休みを知らせるチャイムが鳴った。

「じゃあ、俺ら取ってくるわ」海斗と翔が財布を持ち教室を後にした。

「行ってら〜」朱里と恵麻は笑いながら手を振った。

「相変わらずバカかよ」スマホを触りながら笑ったのは杉山 悠真すぎやま ゆうまだ。

明るめの茶髪にピアス。ネックレスに制服の上には白いパーカーとチャラい見た目だ。

彼は見た目通り不真面目、その上女癖が悪いのが惹かれやすく、モテていた。

「注文ありがとうね〜悠真」朱里がお礼を言うと「全然、久しぶりに来たし」と明るく笑った。

「まさか、新学期からサボるなんて、思わなかったよ」結愛は呆れたように笑った。

「起きれなかった。てか、楽しいクラスなら呼べよ、真心」悠真は真心に話しかけた。

真心は頬を赤らめつつ「そ、そうだね」とぎこちなく答えた。

「あれ、真心ちゃんの事知ってたの?」結愛は意外そうに2人を見比べた。

「知ってるも何も、真心とは小学校から一緒。去年クラス別れたけど」悠真は真心にひひっと明るく微笑んだ。

真心は頬を真っ赤にし、メガネを整えた。

「なるほど〜」結愛はいたずらっぽく2人を見比べた。

悠真は少し目線を変えると、朱里と一緒に話している小梅を見つめた。

「そういえばさ、あの子誰?赤髪にネックレスの」と不思議そうにした。

結愛は「如月小梅ちゃんの事?去年真心ちゃんと同じクラスの子だよ」と答えた。そして「小梅ちゃん〜」と小梅を呼ぶと、小梅は不思議そうに結愛と悠真の側に駆け寄った。

「悠真が小梅ちゃんと初対面だから話したいって」結愛が説明し、小梅は少し微笑んだ。

「はじめまして、如月小梅だよ。」小梅は軽く自己紹介をした。

悠真はいつものように明るい笑みで「杉山悠真。悠真って呼ばれてる」と簡単に自己紹介をした。そして、「小梅ってさ、彼氏いんの?」と聞いた。

小梅は少し笑い「いないよ。」と答えた。

「いないんだ。じゃあ、俺はどう?」悠真は頬杖をつき、口説き始めた。

小梅は混乱していると「悠真。小梅を口説かない〜」と優大が小梅の頭に手を置いた。

「そうだよ。悠真女たらし直したら?」真心が悠真の肩に手を乗せた。

「じゃあ、真心付き合ってくれよ」悠真は真心に明るい笑みを浮かべた。

真心は頬を赤らめ「ば、バカじゃないの?」と言い、誤魔化すように教室を後にした。

「へ〜。早乙女って悠真の事を…」優大はフッと笑った。

小梅はあまり聞こえず「何か言いました?」と優大を見上げた。

「なんでもない。とりあえず流されるなよ?流星が心配するよ」優大は小梅にそう言い聞かし、教室を後にした。

「流星って、彼氏いないって言ってなかった?」悠真は驚いた目をした。

小梅は慌てて「流星って人は私の兄。」と答えると共に胸の中がチクリと痛んだ。

あの時も、すぐに訂正出来ていればあんな事にはなっていなかっただろう。

小梅は少し苦笑した。

すると、「持ってきたぞ〜」と海斗と翔がピザの箱を持って帰ってきた。

「ありがとう。たかっち、サッカー部からデリバリー部に転部したら」「うるせぇよ」海斗は笑いながらピザの箱を開けていった。

「海斗と翔が走ってきてると思ったら、もう来たんだ」真心が帰ってきた。

「おかえり。真心ちゃん」小梅はふふっと笑った。

「真心ちゃん、小梅ちゃん食べる?」朱里の声かけに真心は「食べる〜」と返事した。

小梅は申し訳なさそうに「ごめん。私は大丈夫」と答えた。

真心は心配そうに「小梅ちゃん、ほとんど食事を取ってないけど、大丈夫?」と聞いた。「そうだよ。いつも野菜ジュースばっかり飲んで」朱里も心配そうに小梅を見つめた。

小梅は心配してくれる友達の暖かさに胸がいっぱいになりながらも「でも、ごめん。あ、私ちょっと用事あるから。ごめんね!!次は食べるから」と言った。

「わかった〜また次の時ね」朱里と真心は明るく微笑んだ。

小梅も微笑み返し、教室を後にした。


ーー申し訳ないことしちゃったな…


小梅は階段を降りようとすると、フラッと目眩が起きた。

気づいたら、階段から足が離れていた。

「危な…!!」転ける所で誰かに受け止められた。


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