第9話 幸せの終わり

新学期になり、小梅は久しぶりの教室に入った。

「おはよう〜小梅ちゃん。元気だった?」真心は小梅に気づくと明るい笑顔で話しかけた。

小梅は「元気だったよ。お盆は実家に帰ってバタバタだった」と笑顔で返し、席に荷物を置いた。

「親戚来る系の家ね。大変そうだよね。」「小さい頃からだし、慣れてるけどやっぱり疲れる〜」小梅は苦笑した。

すると、真心はいたずらっぽく微笑み「楠木君とのデートはどうなったの?」と声を落として聞いてきた。

小梅は頬を赤らめ「べ、別にどうもしてないよ。カフェ行って、本屋さん行ったくらい」と返した。

「告白したり、されたりしてないんだ〜」真心は残念そうに言った。「全く、真心ちゃんは...」小梅は呆れたように笑った。

すると「小梅」と気になる人から呼ばれ、小梅は心臓をドクンと鳴らした。

そして振り向くと優也が小梅を見下ろしていた。

小梅は「なに?」と首を傾げた。

「ちょっと、今から屋上に来て欲しい。」と言われ小梅は更にドクドクと心臓を鳴らした。

隣で真心が目を輝かせていた。

「う、うん。わかった」小梅の返事に優也は「先に言ってる」と教室を後にした。

「小梅ちゃん〜おめでとう」真心は小梅の手を握った。「まだ、わならないよ。それにこの時期の告白はあるのかな?」小梅は否定しつつも内心は浮かれていた。

「時期なんて関係ないって。早く行ってらっしゃい」「わかった。」小梅は真心に送り出さられ屋上に向かった。


◇◇◇◇


屋上に行くと、優也はベンチに座っていた。「ねぇ、話ってなに?」小梅は優也の隣に座った。

優也は少し間を開け「カフェに行った帰りさ、コンビニの近くでわかれたしゃん?」と聞かれ、小梅は頷いた。

優也やは少し空を見上げ「わかれた時にさ、コンビニの前で話してた黒髪の男は誰?」と聞き小梅の方に目線を向けた。

小梅は少し考え「あ、あの時?あれは...」と少し笑い答えようとすると、「小梅ってさ最低だよな。お盆の時期にもその男と歩いてたし」と遮られ、小梅は状況が追いつかなくなった。

なにより、最低と言われたことに戸惑いを隠せなかった。

「いや、そのあの人はさ私の」小梅は誤解をとこうとすると「それにさ!!お前、なんか豪邸に入っていく時に強面の連中に頭下げられてたよな?偶然通りかかって声かけようとしたら見ちゃってさ」一体何者なの?と遮って聞かれ、小梅は目が遠くなった。

とりあえず、実家の事は誤魔化さないとと思い「実家お金持ちでさ、強面の方々はボディーガードだよ。誤解されやすいんだけどね。後、その私も実家がお金持ちとなるとお金目当てで寄ってきたりする人がいるかもしれないから、みんなには離さないでくれる?」と笑顔を浮かべた。

優也は「別に、実家の事は言わない。でも、あの男の事は否定しないんだな。」立ち上がり屋上を後にしようとした。

「待って、あの人は私の」「もういいよ!!小梅とは関わらないから」と遮られそのまま出て行かれた。

小梅は目の前が真っ暗になった。



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