第6話 夏の甘さ
優也と出かける当日。
小梅は朝起きると、服選びに悩んでいた。
「小梅。出かけるの?」流星は後ろから小梅に声をかけた。
「友達とスイーツ食べに行くの…」小梅は服を取り「流星兄ちゃん、これはどう?」と服を見せた。
その服は、白いシャツに黒いリボンのようなネクタイの服。
そして、黒い銀色のチェーンがついたミニスカートだ。
「可愛いと思う。後、俺が買った赤いハートのネックレス付けて行ったら?」流星はネックレスを小梅に渡した。
小梅は嬉しそうに「ありがとう」と言い、ネックレスを受け取った。
◇◇◇◇
何か考えているのか、ぼーっとしながら準備をする小梅に流星は苦笑した。
「そんなに、緊張してる?」流星が声をかけると小梅は「うわ!!」と間抜けな声で驚いた。
「な、なに?」小梅は身を縮めて流星を見つめた。
流星は思わず笑いつつ「小梅、ぼーっとし過ぎ。そんなに緊張する事ないよ」と言い小梅の頭を撫でた。
「そ、そうだけど…私…楠木君の事…す、好きなのかな?」小梅は頬を赤らめ、俯いた。
流星は少し「わからないけど、今日は楽しんで来たら?」と言い、優しく微笑んだ。
正直、少し心配な部分もあった。
だが、小梅の事だから大丈夫だと思うことにした。
◇◇◇◇
「楠木君〜待った?」小梅は優也のそばに駆け寄った。
「大丈夫。早速行こっか?」優也が歩き出し小梅は急いで追いかけた。
◇◇◇◇
「美味しい〜」早速カフェに着くと、小梅はアイスが乗ったパンケーキを頬ばっていた。
「甘い物好きだよな」優也は微笑ましそうに笑いつつ紅茶を飲んでいた。
「なんかさ、俺の友達に尚也って言うメガネかけた奴いるんだけどさ、小梅に似てるんだよな」優也の言葉に小梅は首を傾げた。
「似てる?」「似てる。甘い物大好きな所とか、マイペースな所とか。他には、見た目はさすがに似てないけど、気配?が同じ」優也は面白そうに笑った。
「今度会ってみたい。尚也君?とは仲良くなれそう」小梅は楽しげに笑った。
◇◇◇◇
しばらくし、本屋さんへと移動した。
優也はよくわからず、ふらっと歩いていると、小梅を見つけた。
小梅は真剣な目で本を手に取り、中身をサラリと開いたり、また違う本を手に取ったりしていた。
そんな小梅の横顔に優也は気付かぬうちに見惚れていた。
そんな時、小梅が優也に気づき少し微笑んだ。
優也の心臓がドクっと鳴った。
◇◇◇◇
日も傾き、小梅と優也は街を歩いていた。
軽い会話をしているせいか、中々続かない。
優也は意を決して、そっと小梅の手を取ろうとしたが、小梅は「楠木君。私ここでいいよ。」と少し微笑んだ。
優也は手を引っ込めて「そっか。また学校で。小梅」といつもの笑顔を見せた。
小梅は「今日はありがとう。また学校で」と言い、優也から離れていった。
優也は名残欲しさを感じ、小梅の背中を見送っていた。
だが、それは後悔へと発展した。
コンビニの前で小梅は誰か男と話していた。
黒髪に黒パーカー。
身長は高く、優也より年上だろう。
顔は整っていて、面倒見が良さそうだった。
男は小梅に優しい目を向けていた。
小梅は楽しそうに親しげに話していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます