第3話 兄との再開

「一人暮らしはどうだ?なにか困ったことはないか?」流星は唐揚げを揚げていた。

その横で小梅は切り干し大根を煮詰めつつ「特にはないかな。」と流星の質問を簡単に返した。

「あれから、陸上部を辞めたと聞いたんだがやっぱり実家のためか?」急に心の底を聞かれ小梅は何も言わずに目を伏せた。

流星はやはりかと、ため息を吐いた。

「悪かった。辛い思いさせて」流星は小梅の頭を撫でた。

小梅は首を振り「流星兄ちゃんにも辛い思いさせてたから。」と否定した。

流星はフッと笑い「俺は自分のためだよ。やりたい事も無かったし」と小梅を慰めるように言った。

「さて、飯にしよ。」流星は小梅の頭を撫で、机にお皿を置いた。


◇◇◇◇


「流星兄ちゃんは、あれからどう?怪我はしてない?」小梅はあまり食事に手をつけずに流星の心配ばかりしていた。

「大丈夫だって何度も言っているだろ。ほら、食事しないと身体壊すよ」流星は唐揚げを取ると、小梅の前に差し出した。

小梅は納得しきれない顔をして差し出された唐揚げを1口食べた。

唐揚げを食べている小梅を見て「小

梅。あまり食事を取っていないように見えるが、一人暮らし大丈夫なのか?」流星は心配そうに小梅を見つめた。

「大丈夫だから。」小梅は目を伏せた。

「実家に帰って来いとは言わない。ただ、兄ちゃんと一緒に暮らす手もあると思って」流星は慌てて付き出した。

小梅は首を振り「大丈夫。流星兄ちゃんには迷惑かけれないから」と断った。

流星は不満そうに「兄ちゃんはそこまで頼りないか?家族なんだから迷惑かけて当たり前だろ」と言った。

小梅はやはり否定し「実家のこともあるだろうし、私は高校生だから」と言った。

流星は納得しきれなかったが、小梅の言う通りにする事にした。

ただ、なにかあったら悪いという事で合鍵を貰うことにした。

「小梅、大人になってきたな」流星は小梅の頭を撫でた。

「全然。流星兄ちゃんと比べれば子供。流星兄ちゃんに心配かけてばかりだし」「勝手に俺が心配してるだけだ。」流星はフッと笑うと、小梅を腕の中に閉じ込めた。そして落ち着かせるように頭を撫でた。

小梅はようやく自分が泣いていることに気がついた。

自分の情けなさ、これからの不安。

全部が出てきて受け止めきれなかった。

「何回頼っても、俺は迷惑じゃない。むしろ頼れ」流星は小梅を慰めるように呟いた。




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