第7話 犯人の動機

警察署内の取り調べ室。九垣庄司は椅子に座り、冷ややかな視線を投げかけている。対面には氷川光一警部と中原淳一警部が立っている。取り調べの緊張感が漂う部屋の中、氷川は証拠を手にして九垣を見つめた。


「九垣さん、あなたに見せたいものがある。」氷川はテーブルの上に証拠写真を並べた。写真には信川康介の銃殺体と、発見された拳銃が写っている。


九垣は無表情のまま写真を一瞥した。「見せられたって何も変わらない。俺は何も知らない。」


中原が口を開く。「では、この防犯カメラの映像はどうですか?」映像が再生され、九垣が信川と口論している場面が映し出された。


九垣の顔色がわずかに変わる。しかし、すぐに冷笑を浮かべた。「ああ、あの時か。いいだろう、話してやるよ。」


九垣庄司の回想が始まる。


信川康介は刑務所を出てから1年後、突然暴力団の事務所に現れた。その日、九垣は脇永英二と共に事務所にいた。


「お前が坂城勇次を殺すように脅したことを警察に話す」信川が怒鳴り込んできた。九垣はその時、信川が脇を脅している場面を目撃した。

「まて、早まるな。」


脇永は信川を制止しようとしたが、信川は意志を曲げずに脅迫を続けた。「お前が俺を脅して、坂城を殺させたことを全部話す!」


その瞬間、九垣は決断した。信川がこのまま生きていれば、暴力団の秘密が暴露され、組織が崩壊する危険がある。信川を消すしかないと思った。


犯行当日、九垣は偶然坂城隆士の家の前で信川を発見した。信川は何かを考え込んでいる様子だった。


「信川、お前何してるんだ?」九垣が声をかけると、信川は驚いた様子で振り返った。


「何だ、九垣か。お前も俺を消しに来たのか?」信川が挑発的に言った。


九垣は冷静を装いながらも、内心では焦りと怒りが交錯していた。「お前が暴露するつもりなら、ここで終わらせるしかない。」


そして九垣は我慢の限界に達し拳銃を取り出した。

「おい、待てよ撃ったらお前も暴力団も終わりだ。」

「もう遅い」

信川に向けて発砲した。信川は銃弾を受けて倒れ、その場で息絶えた。

そして九垣は遺体にブルーシートをかけた。


九垣は取り調べ室で淡々と語り続けた。「あいつが暴力団を抜けるなんて、あり得ないことだ。秘密をバラそうとした奴は、消すしかない。それがルールだ。」


氷川は九垣の言葉に怒りを覚えたが、冷静に問いかけた。「九垣さん、どのような事情があろうとも、人を殺すことは許されない。この世に死んでいい人間はいないんだ。」


九垣は冷笑を浮かべたまま答えた。「あいつがバラそうとしたのが悪いんだ。俺たちには選択肢がなかった。」


氷川は拳を握り締めた。「それでも、あなたは罪を犯した。これからあなたはその罪を償わなければならない。」


中原も同意して言った。「九垣さん、あなたの行為は許されない。私たちは真実を明らかにし、正義を貫くためにここにいる。」


九垣は黙り込んだが、その冷酷な笑みは消えることはなかった。氷川は彼に対して強い意志を持ち、正義を貫く覚悟を新たにした。

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