最強えびふらい 3人用台本

ちぃねぇ

第1話 最強えびふらい

はる:ツッコミ役、振り回される主人公

えび:一人称は私(わたくし)、特殊能力の持ち主

ちぃ:はるの妹。姉に対して辛辣



■はるの部屋にて。どこからともなく、眠るはるを呼ぶ声が


えび:はるさん


はる:…


えび:はるさん、もうすぐお昼の時間ですよ、起きませんか


はる:ん…


えび:はるさんってば


はる:誰よ…ちぃ?今日休みでしょ、もう少し寝かせてよ


えび:ちぃさんではありませんよ。それに、会社がお休みだからと言って寝過ぎは身体によくありません


はる:うるさいなぁ…もう…(観念して身体を起こし、部屋を見渡す)…………あれ?ちぃ、どこ?


えび:だからちぃさんではありませんよ


はる:え…ていうか、誰もいない?空耳?


えび:いますよ、ここに


はる:えぇ…一体どこに


えび:そんなにキョロキョロしないでください、目線はもっと下です


はる:え?


えび:私はここです


はる:ここって……どこよ?


えび:だーかーら。私はここですよ、はるさん。もっと下です、下。机の上


はる:机の上…え、なんで机にエビフライ乗ってんの?しかも直(じか)置き


えび:おはようございます、はるさん


はる:えっ


えび:あ、もう「おそようございます」ですかね


はる:は?はぁ!?この声、もしかしてこのエビフライから出てんの!?


えび:やっと目が合いましたね


はる:目ってどこよ!エビフライに目とかないじゃん!


えび:はい、今はもうありませんね、ですから言葉遊びです。私揚げられる【前工程】で既に身ぐるみ剥がされ目も鼻も耳も取り除かれておりますので


はる:怖い事サラッと言うな!


えび:怖い事って。普段から平気な顔して捕まえてひん剥いて揚げて噛みちぎってるくせに


はる:言い方!ていうか、元々海老に鼻とか無いよね、あるの触覚だよね?…つーか口!口ってあるの?いやあったのかも知れないけど、ひん剥かれて衣付けられて揚げられたんでしょ、ならその声はどこから出てんの?いやいや、そもそも人間以外がなんで言語を習得して操ってんのさ!


えび:一度にそんなにまくしたてないでください、どの質問に答えて欲しいのかわからないじゃないですか


はる:全部だよ!


えび:一度に全部は無理ですよ。仮に答えられたとして、聖徳太子のように全ての答えを聞きとってくださるんですか?


はる:私今エビフライに詰められてるの?なんで?てか、なんでアンタ聖徳太子の存在知ってんの?


えび:社会常識ですから


はる:人間社会を学ぶなよ。(間をおいて)…ははーん、わかったわよ


えび:なにがです?


はる:これは夢ね


えび:はい?


はる:(独り言チックに)あー私飲み過ぎたのね、流石にボトル2本はやりすぎだったかぁ。なんか心なしか頭痛い気がするし。にしてももっとリアリティのある夢見れないもんかね?歴史把握してるエビフライって


えび:はるさん


はる:(無視してあくび)あーあ、夢の中で起こされるとかすっごいもったいない気がする。…寝るか


えび:はるさん、もうお昼ですって


はる:はいはい、はるさんはもっかい寝るのでお静かにー


えび:はるさんってば


■ちぃ登場


ちぃ:えびちゃん、姉さん起きた?


えび:それが…


はる:ちぃ!


ちぃ:おはよ姉さん。ていうか「おそよ」


はる:勝手に私の夢の世界に入って来ないでよ


ちぃ:何バカなこと言ってんの。まだ頭寝てるみたいだね


えび:そうなんです


ちぃ:ごめんねー姉さん、仕事ない日はいっつも無駄に怠惰に人生を浪費する癖があって


はる:何その嫌な癖。あんたほんとに妹のくせに辛辣ね。夢の中でくらい可愛らしく「お姉ちゃん♡」って言ってみなさいよ


ちぃ:言って欲しいの?


はる:やっぱいい


ちぃ:(ため息)アホなこと言ってないで、お昼出来たから冷める前に食べてくれない?片付かないんだけど


はる:さっきからバカとかアホとか言いすぎじゃない?ていうか、私の夢なんだからさっさと出てってよ。寝らんないでしょ


ちぃ:夢?


はる:ここは私の夢の世界なんでしょ?


■無言ではるのほっぺを抓るちぃ


はる:いひゃい(痛い)!にゃにしゅんにょ(何すんの)!…(抓る手から逃れながら)え、痛い?


ちぃ:いい加減起きた?


はる:なんで!?


ちぃ:ここが現実だからだよ


はる:はぁ?じゃあこの喋るエビフライも?


ちぃ:なに驚いてんのさ、姉さんが連れて来たんでしょ


はる:は?


ちぃ:ごめんねーえびちゃん。自分で連れて帰って来たくせにすっかり忘れちゃうような薄情な姉で


えび:いえいえ。はるさんに助けて頂いたことには感謝していますし


はる:ちょい!ちょいそこの二人!いや、一人とエビフライ!


ちぃ:(できれば同時に)なに?


えび:(できれば同時に)なんでしょう?


はる:なんで普通に会話してんの!夢の中だとして!


ちぃ:だから夢じゃないって何べん言えばいいの。もっかい抓ろうか?


はる:いやいいです。ていうか、えびちゃんって何


ちぃ:【エビフライちゃん】だと長いから、略して【えびちゃん】って呼んでるだけだけど


はる:だけって、何平然とした顔で言ってんの。エビフライだよエビフライ、エビフライが喋ってんだよ口も無いのに!なんで普通に受け入れてんの!


えび:口がなければ声を発してはいけないのでしょうか


はる:え


えび:(かわいこぶって涙声で)口がなければ声を発してはいけないのでしょうか。お二方とお話をしたいと思う私の気持ちは許されないものなのでしょうか


はる:そういう事じゃなくて


えび:(涙声で)私、はるさんやちぃさんとお話したかっただけなのに、うぅ


ちぃ:あーあーえびちゃん泣いちゃったー


はる:泣くの!?エビフライが泣くの!?


ちぃ:泣かないでえびちゃん、涙で衣が濡れちゃうよ?


えび:うぅ、ちぃさん…


はる:何を見せられているんだ私は…私が悪いのか?っていうかちぃ!エビフライを大事そうに手で包むな!


ちぃ:え?


はる:両手でエビフライを包み込むなっての。そんな持ち方するやつ見たこと無いわよ


ちぃ:何言ってんの姉さん。私は昨日の姉さんに倣(なら)ってるだけなんだけど


はる:はい?


ちぃ:(呆れたような目&ため息で)こんなに可愛い子をお持ち帰りして忘れるだなんて、ほんとひどい人だね姉さんは。朝起きたら全部なかったことにするなんて


えび:いいんです、ちぃさん。たとえ一夜の暖かさだったとしても、私は生涯忘れませんから


ちぃ:えびちゃん


はる:だからその三文芝居をやめろっての!言い方に悪意がありすぎるんだけど!?


ちぃ:…姉さん、ほんとに覚えてないの?


はる:なにが


ちぃ:姉さんがえびちゃんを連れて帰って来たのはほんとだよ。こうやって両手で大事そうに包んで持って帰って来たのもほんと


はる:私が?いつ?


ちぃ:だから昨日の夜


はる:昨日の夜?


えび:ダメですよちぃさん、はるさんはきっと思い出してはくれません。私のことなんてちっとも、覚えてなんていないでしょうから。気まぐれな優しさにほだされた私が悪いんです


ちぃ:えびちゃんは悪くないよ、どうせ姉さんがあの手この手で無理やりあなたを連れて帰ってきただけなんだから


えび:いえいえ、あの夜のはるさんは本当に優しくて情熱的で


はる:ねぇ私ほんとに何したの?


ちぃ:騙されちゃダメだよえびちゃん。姉さんは根っからの遊び人だから


えび:まあ、そうなんですか?そうとは知らずに私ったら


はる:おいそこ!さらっと嘘吹き込むな。私はどっちかというと遊ばれ人…って何言わすんじゃ!


えび:流石関西人。ノリツッコミがお上手です


はる:エビフライに褒められても嬉しくない!


えび:そんな、私…うぅ


はる:あーもー!だからその分かりやすいウソ泣きを止めろっての!


ちぃ:ま、これ以上姉さんで遊んでも時間の無駄だし、ここら辺にしとこか


えび:そうですね


はる:おい


えび:では思い出せないはるさんの為に、回想シーンを挟みましょう


はる:回想シーンって何


えび:ちゃらちゃちゃっちゃちゃ~♪


はる:ねえ何その効果音!…ねえってば!


■回想。時間は12時間前にさかのぼり、千鳥足のはるが夜道を歩く(はるの一人芝居)


はる:ったく~既婚者が出会い系アプリ使うなっつの~!なーにが「出会いがなくてずっと独り身で~」だー!お前由香の旦那じゃねーか!アタシの記憶力舐めんじゃねーぞ!写真盛りに盛りやがって、会うまで気づかなかったじゃねーか。結婚式で払ったご祝儀返せやゴラァ!


はる:あークソ腹立つ!由香、ちゃんとギッチギチに締め上げてくれてっかなぁ?チクる前に殴っときゃ良かったわ


はる:…今回はさー今回こそはさーいい人だと思ったのにさぁー…なんなんマジで!もー!!結局はあれか?良い男は学生のうちに捕まえとけって話なん?どこにおんの良い男は!嘘つかずに定職に付いててモラハラせずによそ行かない男!


■割り込んできたエビフライ


えび:それは「良い男」ではなく「最低限の足切りライン合格者」では?


はる:はぁ?何この声、どっから聞こえてくんの


えび:あ、下です


はる:下ぁ?…道端にエビフライ?


えび:どうも、夜分遅くにこんばんわ


はる:こんばんわ。って、エビフライが独り言に割って入ってくんじゃないわよ!許可取りなさいよね許可


えび:許可制なんですね。ツッコむところそこですか、変わったお人ですね


はる:あんたこんな道端で寝てると風邪引くよ?


えび:多分引かないと思いますが、ご心配ありがとうございます


はる:なんでこんなとこにいるのさ


えび:野良猫さんに運ばれました


はる:はぁ?


えび:ほら、この先にスーパーマーケットがあるでしょう?この道を曲がった先に


はる:ああ、あるわね


えび:私そこで売られてたんですけど、店の外で私を買ってくださった方がいざ食べよう、とされたときに、ぽとっと取り落とされまして


はる:箸使いの悪い奴ね


えび:全くです。で、その後すぐに野良猫さんが私を咥えたまま猛スピードでこちらまで来まして


はる:…ん?で、なんであんたはまだここにいんのさ。その猫に食べられたんじゃないの?


えび:それがその野良猫さん、別の野良猫さんとばったり出くわしまして、私をめぐってのバトルに発展したんです


はる:おー熱い展開


えび:ところがですね…その野良猫さんたち、しばらくは取っ組み合いの喧嘩をしていたのですが、だんだんとその、ねんごろな関係になってしまいまして


はる:ねんごろ?ねんごろって、つまり


えび:はい。私のことなど忘れておっぱじめてしまいまして


はる:おっぱじめてって…


えび:それで、事が済んだ後には二匹仲良くその場から立ち去ってしまったんです


はる:ってことはあんたは、目の前で交尾見せつけられた挙句忘れ去られたの?


えび:ええ、まあ


はる:あんた可哀そう過ぎない?


えび:不運ではありましたね


はる:なんでそんなに冷静なの


■ポツリポツリと降り出した雨


はる:え、うそ、雨?嘘でしょ?今日は夜までピーカンのはずじゃ


えび:通り雨でしょうか


はる:最悪


えび:早くお帰りになったほうがよさそうですね、このままだと濡れてしまいますよ


■エビフライを拾い上げるはる


はる:よいしょっと


えび:え、あの


はる:あんただってこんなとこにいたら衣がびしょびしょになってマズくなるでしょ。あたしンちに来な


えび:マズくって…お気遣いは結構ですよ、もう賞味期限過ぎてますし。そもそも地面に落ちた上猫さんに咥えられていますから、今更びしょびしょになった所で誰も


はる:あんたが良くても私が嫌なの


えび:え


はる:だって可哀そう過ぎるじゃん。誰にも食べられずにこんなところでびしょびしょになって人生終えるなんて。いや人生って言うかエビフライ生って言うか…とにかく、私が気にするの!だから家に来な、わかった?


えび:(了承の)はあ…


はる:わかればよろしい。濡れないように包んであげる。私と一緒に帰ろ―♪


えび:…なんだか楽しそうですね


はる:だって1人よりは2人の方が楽しくない?こんな夜道に独りぼっちは寂しいじゃん。あ、私「はる」って言うの、よろしくね


えび:ふふっ、私に名乗ってくださったのはあなたが初めてですよ


はる:そ?帰ろ帰ろ~お家へ帰ろ~♪


えび:はるさんは変な方ですね


はる:あはは~よく言われる~


■回想終了


えび:とまあこのような形で私はこのお家に運ばれたわけで


はる:嘘ごめんなんも覚えてない


ちぃ:こんなハートフルな会話を全忘れって冷たいにも程があると思わない?


はる:なんも言えねぇ


えび:それじゃあ、私そろそろお暇(いとま)しますね


ちぃ:(悲しそうに)えびちゃん…いいの?


えび:はい、もう十分です


はる:え…お暇って一体どこに


えび:ちぃさん、お手数ですが私を生ごみ入れに連れて行ってくださいますか


はる:生ごみ!?ってあんたまさか


えび:はい、このままここにいても腐敗臭がしてくるだけですから


はる:そんな


えび:短い間でしたが、お世話になりました


はる:待ってよ!


えび:さ、ちぃさん。お願いします


はる:待ってってば!まだ行かないでよ


えび:ふふ、ほんとにおもしろいお方ですね。行けと言われたって私には足などありませんのに


はる:…私が食べるから


えび:はい?


はる:私が責任もって食べるから!


えび:何を言っているんですか、はるさん。正気ですか?まだ寝てらっしゃるんですか?


はる:失礼な!とっくに起きとるわい


えび:私がどういう状態かわかっていないのですか。道路に6時間以上放置されていた、賞味期限切れのエビフライですよ?


はる:でも冬じゃん!炎天下とかじゃないしなんとかなるって


えび:なんとかって…私、猫さんに咥えられていますよ?自分で言うのもなんですが、かなりばっちぃですよ?


はる:咥えられただけでしょ?


えび:だけって


はる:だって、私そんなハートフルな連れ帰り方したんでしょ?このまま生ごみになんて出来ないじゃん


えび:お気遣いだけで結構ですよ、時間も経って味も落ちていますし


はる:大丈夫!私バカ舌だから!


えび:誇って言うことですか(笑)冗談ではなく、食べるのはおススメしません。お腹を壊してしまいますよ


はる:体力だけは自信あるよ


えび:体力と体調は関係が無いような


はる:あーもううっさいわね、食べるったら食べるの!あんたエビフライでしょ!だったら最後までエビフライ人生を全うしなさいよ!


えび:…ふ、ふふふ。本当に面白い方


ちぃ:呆れるほどにバカだよねぇ


えび:ですね


はる:ちょ、何笑ってんの。あと失礼が過ぎるでしょ


えび:こんな方に出会えるのなら、今回の転生はとても「当たり」だったようです。随分笑わせていただきました


はる:へ?


えび:あ、食べられる前に私について補足をさせて頂いてもよろしいですか?


はる:補足?


えび:数分前の質問にお答えいたしますね。なぜ私が言語を操れるのかとお聞きになりましたよね?


はる:あ、うん


えび:それは私の前世が人であったからです。そして、前世の私は大変良い人間でしたので神様との交渉権を得ることに成功いたしました


はる:交渉権?


えび:はい。神様は仰いました。「次生まれ変わるなら何になりたいか、好きなものに生まれ変わらせてやるから頭の中に思い浮かべよ」と。で、私自分で言うのもなんですが大変な天然物で、「好きなもの」というフレーズに思わず、人であった頃の一番の好物の「エビフライ」を頭に浮かべてしまったんです。そしたら神様はとても驚いて「それでよいのか、本当にそれでよいのか」と尋ねてらして。私、言葉の意味が分からずぽかんとしておりましたら何を思ったのか「あい分かった、ただしすぐに食べられては可哀そうだから、食べられる前に「次」と念ずれば新たな任意のエビフライに転じることを許そう」とおっしゃって


はる:つまり…どういうこと?


えび:私、希望するこの世のすべてのエビフライに転移が可能なんです


はる:……はい?


ちぃ:説明するより見たほうが早いんじゃない?


えび:そうですね


ちぃ:姉さん、はいこれ今日のお昼ご飯


■ちぃ、はるに「エビフライ定食」を差し出す


はる:エビフライ定食?


ちぃ:うん。じゃあえびちゃん、お願い


えび:はい。行きますよ「次」


■瞬間、出されたエビフライ定食のエビフライがブルっと震えた


はる:え、今このエビフライ震えた!?


えび:はい、転移完了です


はる:えええ!?喋ってる!?


えび:あ、もう机の上のエビフライは喋りませんよ。私完全にこちらに移っておりますから


ちぃ:じゃ、こっちは生ごみでいいかな


えび:はい。もったいないですけどしょうがありませんね。お馬鹿なはるさんのお腹を壊すわけにはいきませんから


はる:えええ…やっぱ失礼


えび:というわけで、私、この世にエビフライがある限り生き延びることが可能なのです。ちなみに神様は「コミュニケーションが取りたくなったら、願えば叶うようにしてやろう。出血大サービス、世界各国の言語を操り放題じゃ」とも仰っておりましたので、私、人であった頃より随分賢く生まれ変わらせていただきました


はる:なにそれ…チートじゃん


えび:はい、最強です


はる:あーもう。なんか色々気にして損した


えび:ふふふ。では気を揉ませたお詫びに一つ、よろしいでしょうか


はる:お詫び~?


えび:はるさん、良い男の最低条件は「嘘つかずに定職に付いててモラハラせずによそ行かない男」ではなく、「真面目に働き周りからの信頼も厚く誰にも優しく接して愛情深い男」にアップデートしませんか?


はる:はい?


えび:私を売っていたスーパーの店長がもれなくその「良い男」の条件に当てはまるのですが、いかがでしょう。もちろん独身で彼女無し。まあ、少しエビフライを食べ過ぎて太ってはいるのですが、とても温和に笑うよい男性なのですよ。私、お二人はとてもお似合いだと思うのですが


はる:なにそれ…エビフライのくせにお節介


えび:ちなみに店長はダイエットの為に隣町のスポーツジムに通い始めました。はるさんも怠惰な生活を叩き直すために入会してみたらいかがでしょう


ちぃ:はいこれ、スポーツジムのチラシ。今朝ポスティングされてたよ


■チラシを手渡すちぃ


はる:なにその手厚いお節介


えび:体験会は毎週開催されているようですよ


ちぃ:会社と自宅の往復しかしてないんだから、暇でしょ。行ってきたら


はる:はぁ、もう…わかったわよ。行けばいいんでしょ行けば


えび:ふふ。では私、はるさんがこちらのエビフライを食べられるよう、次のエビフライに転移いたしますね。もしまた私に会いたくなったら、あのスーパーの総菜コーナーにいらしてください。当分はあちらにお世話になる予定ですので


はる:お世話って


えび:あ、私目当てでなく店長目当てでも大歓迎ですよ


はる:もうわかったから


えび:はい。それでははるさん、ちぃさん、お邪魔いたしました。お二人の幸せを総菜コーナーより願っております。…「次」!


■えび、転移。


はる:…行ったの?


ちぃ:みたいだね


はる:はぁ…変なエビフライだったわ


ちぃ:じゃ、姉さん。お昼ご飯食べ終わったらちゃんと下げに来てね


はる:食べにくいなぁ、これ


ちぃ:食べない?


はる:…いや、食べるよ。粗末にしたらえびちゃんに怒られそうだもの


ちぃ:呼びやすいでしょ、えびちゃん


はる:(笑って)それじゃあ、いただきます





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最強えびふらい 3人用台本 ちぃねぇ @chiinee0207

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