第2話 女友達は作っちゃう
(もう一度椅子に座る。その周りをヒロインが歩きながら話す)
「え? 私がヤンデレだって信じられないの? さっきの現実離れした質問をしたのは誰よ」
「そうよ、あんたよ。え? 私がヤンデレだって信じられないの? ヤンデレは現実にいるのかって私に聞いて来たのに、実際にいると信じないのね。少し悲しいわ、せっかく勇気を出してあなたに告白したのに」
「まぁ、いいわ。今から私がヤンデレだって証明してあげるから。はい、これ」
(彼女からスマホの画面を見せられる)
「そう、これは本棚よ。この本棚を見て、あなたは今、自分の本棚だと思ったでしょ? でも、少し疑問に思わない?」
(何の事か分からず、困っていると彼女が話を続ける)
「私、あなたの家、行ったこと無いでしょ? 家の前までは漫画を借りに行った事はあったけれどね」
「あぁ、そういえば。その時借りた漫画、実を言うとまだ返してないのよね。でも、あなたは確かに返してもらったと今思ってるでしょ? 見破られていないのなら、私の技術も上達したものね。あなたが返された物は私が出来る限りあなたの持ってた物に寄せた物よ」
「あなたから借りた物がどう使われたかは……ふふ、想像にお任せするわ」
(不敵な笑みを浮かべる)
「それで話を戻すけど、前にあんたの家に入っ…上がらせてもらった時に、私も同じものが欲しいと思ったのよね。だから、買ったの。並べてる本も、一つの違いもなくね。今現在のあなたの本棚と全く同じ状態よ。だから、あなたは今、写真を見た時に自分の本棚だと思った、そうでしょ?」
(図星であるが、まだ信じる事ができない)
「まだ信じてくれないの? だって私、あなたの大好きなヤンデレだよ? もっと素直に信じてくれるはずだと思ったのに。まだまだあなたの事が知りきれてない、裏を返せば、知り尽くしていたと思っていたのに、まだあなたの事を深く知れるのね。凄く、嬉しい」
(実際にヤンデレ、ましてや自分の事が好きなヤンデレを目の前にすると段々怖くなってきて、読んでいた本を鞄にしまって、心ばかりの逃げる準備をする)
「その今しまった本、さっきはタイトルしか知らないって言ったけれど、本当は全部知ってるわ。タイトルから中身、セリフの一言一句まで覚えてるわよ。試してみる?」
(もう一度本を取り出し、適当に開いたページの一文を読む)
「224ページ、10行目。それに隣のページには主人公にヤンデレな事がバレたヒロインがそのまま主人公を襲ってしまう挿絵。合ってるでしょ? 貸してみなさい」
「ほらね、前後のページまでも完璧。これをあなたが持ってる本なら全部で出来るわよ、試してみる?」
(真面目に恐怖を覚えてきて、首を横に振る)
「あら、残念。私のあなたへの愛を手っ取り早く示せると思ったのに」
(恐怖から身体が小刻みに震えてしまう)
「あれ、そんなに震えてどうしたの? もしかして……」
(彼女が体を曲げて、後ろから耳元で囁く)
「怖いの?」
「さっきまではあんなにヤンデレに対して興味津々だったのに、実際に目の前にすると、あなたは恐怖を覚えて震えてきちゃう。そんな所も可愛くて大好きよ」
(急いで立ち上がり、教室から出ようとする)
「ちょっと待って、これ、忘れ物よ」
(彼女から何かを投げ渡される)
「家の鍵、忘れてたわよ」
(確かに鞄のポケットに入れていたはずだと思い、確認する)
「あらら? 何ででしょう?」
(記憶通り、ポケットからは家の鍵が出てくる)
「鍵、作っちゃった」
(テヘっと、照れ笑いをして誤魔化そうとしてるが、今の自分には全く誤魔化せない出来事だった)
(ゆっくりこちらへ向かって歩いてくる)
「もう、あなたに逃げ場なんて……」
(ちょうど自分の隣で立ち止まり)
「無いからね」
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