第7話 「謎の男 その①」

 あれからどのくらい経っただろう。三日か?一週間か?分からない。

 俺は『迷いの森』での戦いから何も覚えていない。

エリナ。あいつに二度、殺されかけた。一度目は『killer』で、二度目はエリナ自ら。

 それから、俺とクロムを助けてくれたあの男だ。何者かも分からない。

ただ、最後に聞こえた言葉が気になる。

『お前に【データドレイン】の能力を付与した。復讐に役立つだろう。』

【データドレイン】とは?復讐することを何故知っている…

 クロムは既に起きていた。クロムに話を聞こう。

俺は隣に居たクロムに声を掛けた。

「クロム。その…大丈夫か?」

俺は恐る恐る声を掛けた。

するとクロムは、

「お、お前こそ大丈夫なのか?」

クロムはかなり焦っていた。

どうしたんだ?クロム?

彼の声は震えていた。

「おい…鏡で自分の顔…見た方がいいぞ…」

クロムに鏡を渡され見てみると、

「なんだよ…これ…」

俺の左目の下に付いていたのは、月の形をした痣のようなものだった。

しかも、右の頬にはひび割れがあり、とても痛々しいものだ。

「お前…何があったか教えてくれないか?覚えていることだけでいいからさ。」

クロムはそう問うが、俺が話せることはほぼ無い。

まぁ、知っていることは全て話そう。

「俺が最後に覚えているのが、あの男の『お前に【データドレイン】の能力を付与した。復讐に役立つだろう。』という言葉だ。」

俺がそう言うと、クロムは少し考えて、

「【データドレイン】か…このゲームのプログラムには無いもののはずだ…あの男、何を付与したんだ?」

分からない。復讐に役立つものだからな…

「言葉の意味からして、データを吸収して自分のものにするんじゃないか?」

クロムが思いついたように答える。

確かにそうだな。

「でも、どうやって使うんだ?」

俺がクロムに聞く。

「お前が知らないなら分かんないよ。」

そりゃそうだ。

「試しにその辺の敵と戦うか?」

俺がそう言うと、

「あんなことがあったのにか?」

クロムが信じられないような顔でこちらを見た。

「まぁ、確かに?」

クロムの言う通りだな。

俺達は少し休んだ方がいいかもしれない。

「ウルフとリーフェを呼んだ方がいいか?」

クロムがそう言う。

「そうだな。これからのことも話したいしな。」

クロムは頷くと二人にメールを送った。

しばらくするとクロムが、

「大丈夫だ。二人はもうそろそろ来るらしい。」

 二人に何から話そうか。

顔の痣か?データドレインのことか?あの男のことか?

どちらにしても全て話さなければ。

 それから俺とクロムは、二人が来るまでちょっとした雑談をしたりして時間を潰した。


~クロム視点~

 朝起きると親友の顔に痣とひび割れたような傷があった。

クロスは大丈夫と言っていたが心配だ。

ウルフ、リーフェを呼んでこれからのことやクロスのことについて話そうと思う。

 それにしてもあの男は何者なんだ?

俺やクロスのことを知っているのか…

謎は深まるばかりだ。

まぁこれから少しずつ謎は解けていくだろう。その時まで待つとしますか

俺とクロスは話をしながら二人を待った。


~数分後~

 ウルフ、リーフェが来た。

二人は俺の顔を見て凄く驚いていた。

まぁ、久しぶりに会ったパーティーメンバーの顔に目立つ痣があったら心配するよな。

 そして四人でこれからのことや俺のこと、あの男について、覚えていることは全て話す予定だ。

「初めに、俺の顔にある痣についてだ。この痣は何かはまだ分からない。それに、俺はある男から『データドレイン』という能力を手にした。おそらく痣に関係するものだと俺は捉える。次にこれからのことについてだ。俺達はこれから、『謎の男』について調べる。俺の復讐を知っている人物だ。その男から全て話を聞こうと思っている。そのため、みんなも協力してほしい。その辺は大丈夫か?」

俺が全て説明するとみんなは頷き、

クロムは「もちろんだ。俺は初めからお前に付いていくと決めたしな。」

リーフェは「私も大丈夫です。クロスさん、私はあなたに救われました。孤独だった私と一緒にパーティーを組んでくれて本当に嬉しかったんです。今、その恩を返す時が来ました。行きましょう。クロスさん!」

ウルフは「もちろん協力するさ。リーダーの為ならどこまでも協力するって誓ったし。ありがとう、クロス君。」

それぞれの言葉。みんなの気持ちが伝わる。

「みんな本当にありがとう。感謝しかないよ…」

三人にはこれまで色々助けてくれた。生きる意味を見つけることができたし、復讐を決意することもできた。こうしてリーダーとしてできたのも三人のおかげだ。

「さぁ、さっそく行くとしますか。さっそく四人でクエスト受けようぜ!ギルドクエストで団結力高めますか!!」

クロムはとても張り切っている。

それに続きリーフェが、

「いいですね!早速受けましょうクエスト!」

彼女も乗り気だ。

二人も言ってるし、クエスト受けるのもありだな。

ウルフはというと、隣で酒を飲んでいた。


謎の男について

名前  ???

ジョブ ???

レベル ???

装備  ???

防具  ???

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