第2話 「昔の仲間」

 急いであいつらの元へ向かおう。あいつらなら、何か分かるはずだ。

『夜桜』は、『queen』内で最強のギルドで、チームの最低レベルは130だ。このゲームの最大レベルは150で、俺は140超えてたんだがな…

 俺の彼女の名前はエリナだ。彼女はリリース初日からやっている古参で、レベルは150。『夜桜』の副リーダー。

 『夜桜』のメンバーは5人だ。俺、エリナ、イツカ、ロキ、ワカヒコの五人だ。

 エリナは俺の彼女だからな。美人だ。それだけでなく、性格もいい。最高だ。イツカは長身のイケメンといったところだ。まあ俺ほどではないけどな。ロキはまああれだ…とにかくいい奴だ。ワカヒコはいつもふざけているが本気のときは結構かっこいい。まあ、俺ほどではないがな。

 イツカのレベルは139、ロキは130、ワカヒコは146だった気がする。

 『夜桜』のギルドランクはVIPであり、VIPに到達したギルドは世界でも13個だ。

その中でもチームの平均レベルが約140なのはうちの『夜桜』だけだ。

 あと、俺はゲーム内資産が金貨10億枚ある。日本円でだいたい10兆くらいだ。金貨1枚が1万の価値だからな。

 そんなことを話している内に、とある場所についた。ここは、俺達『夜桜』にとっても大事な場所だ。

 【天国への扉】ここは初代『夜桜』が誕生した場所であり、先代からずっと何かあるたびここに集まった。

 そして、俺とエリナがあった場所だ。

 【天国への扉】はタウン内にはない。ゲートをくぐった先にある。

 俺は深呼吸をした。あいつらに、久しぶりに会うからだ。

 扉を開けた。扉の音はそんなにしないはずなのによく聞こえた。「キキィ」と…

俺は奥にいた数名の男女に声を掛けた。

「久しぶりだな。1週間ぶりか?エリナ、イツカ、ロキ、ワカヒコ。俺だ!クロスだ!!ちょっと色々あ…」

シュッ…

は?なんだ…今の…痛っ…

後ろを見ると、エリナが使っていた剣、「幻惑の剣」が落ちていた。

頬から流れる血。痛い。何故か。

「エリナ、成功したな。」

成功?こいつは何をいっているんだ?

「ロキ?どうゆうことだッ!!」

意味が分からない。

「まだ気づいてないか?お前はだまされたんだ!!」

ワカヒコ?どういうことだ?

「本当馬鹿ね…昔から。」

エリナ?嘘だよな…

「エリナ?おいおい冗談はそこまでにしろって…」

嘘だ。冗談だ。何か悪い夢なんだ。

「クロス、貴方はだまされたのよ!それもこんな綺麗に!!オーッホホホ!!」

まだ何が起こったか掴めない。

「クロス、お前のデータは我々『夜桜』が頂いた!」

は?俺の…データだと?まさか…初期化をしたのはッ!!

「まさか、俺のデータを消したのは…」

俺はそう尋ねた。

返答は信じたくなかった。

「もう用済みだったんだが…まさかまた新しく始めるとは…ゲームが好きなのか、ゲームから抜け出せないのか?」

「まぁ、元世界最強ゲーマーだからな!なぁ、そうなんだろ?鬼塚龍二?」

こいつ…何故俺の名を…

「おぉ、なんでって顔してんなぁ!教えてやるよ!お前は最初から利用されていたんだよ!!」

「何だと?」

「元世界最強ゲーマーのお前のことは調べてある…もちろん、お前が『queen』に来ることもな!!」

なっ…まさか…

「あれも全部芝居だったのか?」

 あれとは…思い出したくもない。俺が『queen』に初ログインしたときのことだ。今は対策されたが、昔は『初心者狩り』が流行っていたのだ。俺もその、『初心者狩り』に合い死にかけたところをエリナに助けてもらいその後の一か月くらいは『queen』のアレコレを教えてくれた。その後3代目『夜桜』に加入した。そして現在に至る。

「あれって…ああ『初心者狩り』のこと?もちろん芝居だわ!アンタの彼女ってことも嘘!誰がアンタみたいなクソ男と付き合うのかしら!!見下した態度ばかりとっているから、そうなるのよ!!恨むなら、過去の馬鹿な自分を恨みなさい!!!」

ハッ!よくいうぜクソビッチ!性格悪いのはどっちだ?

「まぁ、お前には感謝している。」

感謝だと?

「お前のデータがあったから、『killer』が完成したんだ!!」

『killer』?

「そういうことだ。じゃあな『過去の英雄』さんよォ!!」

「おいッ!!待てェェェェェェ!!!」

クソッ!魔術で結界が張ってあるッ!今の俺のレベルじゃあ近づけない!

エリナたちは消えてしまった。

まだ聞きたいことはあったのに…

ん?メールだ。

[プレイヤーの皆様への連絡です]

連絡?なんだ?

【ただいま、世界で大規模の不具合が確認されました。不具合の内容は、『プレイヤーがゲーム内に飛ばされ、戻ってこれなくなる』と、『ゲームオーバーしたプレイヤーが、二度とリスポーンできなくなる』不具合が確認されました。こちらの不具合につきましては、運営会社にて確認を取っておりますので少々お待ちください。】

 同タイミングでウルフからメールが来た。

[運営からのメール読んだ?]

本文を見てみよう。

【今回の不具合はなにやらヤバそうだね…僕の友達も、ゲームオーバーになって帰ってこれない人がいたっていってたし…リアルの世界に戻れなくなっちゃったしね…クロス君のほうは大丈夫そうかな?】

不具合か…少し妙だ…

 もしかしたら、エリナたちともなにか関係があるかもしれない。少し調べるとしよう。

 俺はゲートをくぐってタウンへと戻った。

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