第11話 一階左棟
応接室の柱時計が
コツコツと時を刻んでいた。
「それで・・。
どうするのよ?」
沈黙を破ったのは菅野だった。
「とにかく他の出入り口か、
窓を探して
外に出るしかないだろうな」
松平がここぞとばかりに
リーダーシップを発揮した。
そして僕達は車椅子の塚本を残して部屋を出た。
応接室の隣は遊戯室になっていた。
遊戯室は応接室の倍ほどの広さで、
ダーツマシーンが2台と
ビリヤード台が1台
置かれていた。
壁際には応接室と全く同じ柱時計があった。
奥にはバーカウンターがあり、
カウンターの後ろの棚には
多種多様なお酒が並んでいた。
窓はなく、
当然のことだが電話も見当たらなかった。
次に
僕達は遊戯室の隣の部屋へ入った。
そこは食堂と思われた。
広さは応接室と同じで
部屋の中央には
長方形の大きなテーブルがあった。
当然この部屋にも窓はなかったが、
部屋には入口とは別に
もう一つドアがあった。
松平がそのドアを開けると
隣の部屋に繋がっていて、
そこは厨房になっていた。
厨房も食堂や応接室と同じ広さで
業務用の冷凍冷蔵庫に作業台、
ガスレンジに食器棚があった。
当然、ここにも窓はなかった。
僕達は厨房のドアから廊下に出た。
「ねえ、
二手に分かれましょうよ。
皆で動くなんて効率悪いでしょ?」
最後に厨房から出てきた菅野がそう提案した。
僕達はその提案に従い、
2組に分かれた。
六条、平原、菅野の女性3人は
廊下の左手に見える階段から2階へ。
僕と西岡、そして松平の男性3人は
廊下を引き返して、
1階の右半分、
つまり玄関から右へ進んだ先を
調べることになった。
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