第29話
ボディ。
ジークハルトは、その一撃が加速していることに気づく。
その「正体」が何かを、まだ追いきれない状況だった。
タイプ1と2の併用。
クラウスはこの日のために準備を重ねてきた。
そしてその一撃がどのように転んでいくかを、ほとんど省みようとはしなかった。
タイプ2に移行した時点で、彼の腹のうちは決まっていた。
相手が動く「先」を捉える。
言葉で言うのは簡単だが、それに至るまでのプロセスは、自らの足取りに懸かっていた。
勝負を急ごうと言うのではない。
決断した以上は、そのスピードがもっとも発揮される“内側”に行こうと思った。
目では追えない距離、——思考が追いつけないほどの「間」へ。
ジークハルトは迎撃の体勢を取る。
避けるつもりだったが、思いの外クラウスのスピードが乗っていた。
最初に想定した感覚とは異なる動き。
その「動き」の本質がなんであれ、下手に避けようとするのは得策ではない。
腹に力を入れる。
クラウスの「焔武装」のヒントになったのは、ジークハルトの“身体操作”だ。
焔武装と同様、エネルギーを体内へと自由に移動しながら、部分的な「肉体強化」を図る。
避けるのではなく受ける。
真正面から受け止めようとした。
癪な話ではあったが、それだけ、クラウスの動きに意外性があった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます