第17話


 エネルギーは常に出入りしている。


 あらゆる生物は常に変化をし続けており、“同じ状態を取る”と言うことはない。


 これは生物学上明らかにされていることであり、科学という分野ではこのことを「細胞分裂学」と呼ぶ。


 私たち人間はドメインと呼ばれる分類群を構成した物質的性質を有しており、細胞の中に核膜に包まれた核を持っている。


 この性質を持つ生物は「真核生物」という種に分類されている。


 真核生物は、直径1 µm(マイクロメートル)に満たない緑藻植のような単細胞生物から、体重300t、体長50mに至るサンドドラゴンのような動物、あるいは高さ200m にもなるユグドラシルのような植物まで、形態的に多様なさまざまな生物を含む。


 細胞分裂学の話に戻れば、「細胞分裂」というのは、親細胞が2つの娘細胞に分裂する過程である。


 通常、細胞分裂は大きな細胞周期の一部であり、細胞は分裂する前に成長し、遺伝情報を担う染色体が複製され、その後細胞質を分離する段階を含む。


 核を持たない原核生物では、二分裂により親細胞と同一の遺伝情報をもった娘細胞を生成する。


 核を持つ真核生物では、細胞分裂は、親細胞と遺伝的に同一の娘細胞を形成する有糸分裂と、有性生殖のために単数体の配偶子を形成する減数分裂の2種類に大別される。



 細胞分裂の主要な目的は、元の細胞のゲノムを存続させることであり、分裂前に染色体に保存されているゲノム情報が複製され、それぞれの子細胞に均等に分割されなくてはならない。


 世代間のゲノム情報の一貫性を確保するために、さまざまな細胞基盤が関与している。


 細胞周期を適切に進行させるために、さまざまなチェックポイントが設けられ、DNAの損傷が検出され、修復される。


 これらのチェックポイントでは、サイクリン-CDK複合体を阻害することにより、細胞周期の進行を止めることができる。



 アメーバのような単細胞の微生物では、1回の細胞分裂は生殖に相当し、新規の生物を生み出す。


 より大きなスケールでは、挿し木から成長する植物のように、有糸分裂によって多細胞生物が子孫を作ることができる。


 有性生殖生物は、減数分裂で作られた2つの配偶子が融合した単細胞の接合子から発生することができ、接合子から成体へと成長した後も、有糸分裂による細胞分裂で自己を再生したり、修復することができる。


 人間の体では、一生の間に約一京回の細胞分裂が行われることが知られている。

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