第16話
「少しは上達したじゃねえか。だが、まだまだだな」
直前まで動く素振りすら見せなかったが、流れるように身を躱していた。
“上達した”と言うのは、クラウスの「動き」のことである。
ブックメーカーには多種多様な戦い方、及び戦闘スタイルが存在するが、クラウスは「ファイター型」であるため、“魔力を内側に閉じ込めるタイプ”に分類される。
この内側というのは体の内部のことであり、エネルギーを出力する上で必要な「身体能力」のことだ。
“魔力”と言うのは、人間が生まれ持つ『魔子(μ粒子)』と呼ばれる、肉体を構成する原子の一つから派生したエネルギーの一種である。
あらゆる生物はμ粒子を体内に持っており、自らの生物としての「情報」を保存するのに使用されるだけでなく、それを外へと拡張、複製をするのにも用いられ、それら一連の細胞学を総称して【分子生物学】と呼ばれる。
魔力や魔法というのは、一般的に“生物としての遺伝情報に直結するDNAシークエンシングの分子場“というふうに認識されており、それ自体が「実体」を持つわけではない。
そもそも「魔法」と言うのは、個々の生物の持つ“エネルギーそのもの”である。
数字の1や2のように実数形式で表現できるものではなく、それ自体が単体で動けるようなものではない。
扱える範囲としても、例えばそれが「数」という表現でグラフ化しようとした時、実数直線上にはない数値によって表現されるため、感覚的には存在しない「数」と認識してしまいがちである。
実際には、2つの実数 a, b と虚数単位 i = √−1 を用いてz = a + biと表すことのできる「領域」とみなすことができるであろう。
すなわち、魔力をある数値に置き換えて可視化する上では、その数字上の形式は「複素数」と見なすことができる。
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