第4話:魔法
迷宮の中層部を早々と抜けて、ルーカスさん曰くそろそろ迷宮の入り口らしいです。
時節、頭が二つある火を吹く大型犬のような不死系の魔物「
あ、今も曲がり角から「骸骨の魔女」がゆらりと姿を表してすぐに、身体中心の核をアリスの光魔法で貫かれて灰になって消えていきましたね。アリスは収束させない光魔法なら一瞬で放てるみたいですね。正直チート並みに強いです。
吸血をしなくなってから数百年魔法らしい魔法なんて使っていないから良いなぁ、便利そうだなぁ。というかそもそも前世では魔法とは無縁だったし、使ってみたいですね……と思いながらアリスを見ていた私ですが、ふと頭の中を雷撃のような思いつきが走ります。
あれ?私がイリア単体だった時では、吸血を控えているので種族特性的な問題でほとんど魔法が使えなかったのですが、明里という新しい魂が融合した今なら私にも魔法使えるのでは?たしか、「魂は魔力運用機関のような機能を持つ」……博識な旧友が教えてくれたような気もします。
因みにアリスとは、中階層を今のように、みんなに姫プされている時にいっぱいお話ししてるので比較的気軽に話せます。話の流れで「アリス」って呼び捨ても許可されてますからね。気軽にlet‘s質問!です。
「ア、アリス。その……、魔法みたいなやつは私にも使えますか?」
……緊張して、どもってしまいました。やはりどんなに虚勢を張ってもコミュ弱に初対面の人との会話はキツいですかね。
「んー?たしか……。あ、町にある冒険者ギルドとか行ったら適性魔法がわかるんじゃなかったけ?町に着いたら案内してあげよっか?」
ほう、冒険者ギルドですか。これまたド定番なファンタジー要素きたこれ!ですね。絶対寄り道して冒険者登録とかしたいです。
「ぜひ、お願いします!……それと一つ聞きたいのですが、アリスにはどのような魔法の適性があるのですか?」
「あー、……それは内緒ってことでいい?」
「イリア、異界人だからまだまだわからないのでしょうけど、あまり魔法適性や固有スキルなどは言いふらすものではないのよ」
一瞬答えに困ったアリスをみてメイさんが補足説明を入れてくれます。はえー、そんなルールなのですか。
……困った顔をしているアリスを見るとちょっと申し訳ないですね。
「アリス、ごめんなさい」
「全然大丈夫だよ。そんなしおらしくなっちゃって。気にしなくて良いよ〜」
アリスは無意識ながら俯き気味だった私の顔に目線を合わせると、優しい手つきで頭を撫でてくれました。若干、アリスに甘やかされ過ぎて年齢退行しちゃってる気もします。危ない危ない。これが母性ですが、気をつけないと。
「測ってみてイリアちゃんに光魔法適性があったら教えてあげるよ」
「もし冒険者で生きていくなら、冒険のイロハや剣術なんかは教えてあげられるわよ。危険だから冒険者になんてならない方がいいけどね」
みんな親切にしてくれてありがとう、と言うとメイさんもアリスもちょっと照れてるような雰囲気です。お礼言われるだけで喜ぶとか、どんなに善人ですか。私なんて、3人が居なかったら迷宮も脱出できなかった身……感謝なんてしてもしきれません。
「話に突然入って申し訳ないけど、イリアは自分の固有スキルを把握しているのかな?異界人は優秀な魔力や固有スキルを持っているもので、だからこそ冒険者にならざるを得なくても生き延びられるのだけど……」
ルーカスさんが唐突にそんなことを聞いてきます。えーと、異界人は多くが固有スキル?を持っている……?転生ものでよくあるチートみたいなものですかね?
「どうやったら固有スキル?……それを持っているかどうかわかるのですか?」
「えーとね、まず固有スキルっていうのは、文字通りその人固有の特性のことなんだ。私も一つ持ってて、どうやったらわかるというより、その力が使えるって何故か元々知ってる、みたいな感覚に近いよ」
アリスさんも固有スキルを持っているらしいですが、固有スキルや魔法適性を言いふらさない方が良いっていうルールだったんじゃ……?
まあ、この場には4人しかいませんし、私以外のみんなは割と付き合いが長いようで仲良しです。私が言いふらさなかったらいいだけでしょう。まあ、そんな悪趣味なことをするつもりは毛頭ないんですけどね。
っとそれより固有スキルです。イリアとして異界人には会ったことがありますが、固有スキルはほとんどの異界人にあるとは知りませんでした。もしかして私も明里が混じっているから固有スキル、あるかもしれませんね。
元最強吸血姫による異世界見聞録 @setun4
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