その後

その後は、俺たちは各地を転々としていった。

本当に助けを求めている人たちを、自分から助けに行った。

そんなことをしているから、巷では「神出鬼没の勇者団」なんて言われている。

正直勇者ってもう呼ばないでほしいのだけれど。


そういえば、少しだけ元の国からの追手が来た。

けれど、そこは何とか言い聞かせた。「もう関わりたくない」ってね。

もう二度とあそこには戻りたくないし。本心じゃない人助けはもうこりごりだ。

前までは、勇者になるんだったら死んだほうがましとか思ってたっけ。

そのぐらい、人生に絶望していた。

そんな、心の中で独りぼっちだった俺を助けてくれたのは、ミルやレアたちだったな。


そういえば、ふと思ったことがある。

この何日もの新しい旅の中で、考えたことが。


本当の絆って何だろうか。


魔王を倒すために結成されたパーティーで生まれた絆?

魔王を倒すために手伝ってくれた町の人たちとの絆?


いや、


ミルやレア、つまり本当に信じあえた仲間との絆だ。

あの時はただ魔王を倒すことに必死だったから、正直前のパーティーこそが真の絆だと思ってた。

俺が勇者だからって理由で、俺のことを散々ほめたあの二人。

てっきり信頼してくれているんだと思ってた。

あの二人が一夜にして俺を裏切ってどこかに行ったときは、もう誰も信じられなくなった。

だけど、ミルがその後も一緒に居てくれたから、またこうして旅ができているんだ。そこのところは感謝をしないとね。


あ、風のうわさに聞いたが、俺たちを裏切った元パーティーメンバーの二人は終身刑になったそうだ。

まあ、国からの命令を無視して国外逃亡したんだから、当たり前かな。


「ルキ、遅れちゃうよ!」

「早く~!」


あ、また二人が呼んでる。

「ごめん、待たせて」

「大丈夫。それより、次の目的地は?」


これから、俺たちの本当の旅が始まる。

魔王を倒すまでが、プロローグって感じかな。

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偽善勇者の後日譚 ラ主@多忙なう @Doorstep

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