第6話
「そう言えば湊、今日はメンテナンスの日じゃなかったか?」
『え……ああ、そうだったね』
スマホの日付と左手首に浮かんだ日付を照らし合わせ、確認する。
『メンテナンスのついでに、その感情も少しは直してもらったらどうだ?ほら……そのままじゃ、きっと辛いだろう』
「うん。そうして貰おうかな」
でも、記憶はそのままにしてもらおう。流石に駿へ抱いた想いまで変えられるのは、私自身を弄られるようで怖い。それに、大切なものを失うなんてことはしたく無かった。たとえそれが、辛い思い出でも。
『じゃあ、父さん迎えに行くから』
「分かった。いつも通り、校門の前で待ってる。じゃあね」
『ああ、また後でな』
お父さんが電話を切ったことを確認してから、スマホをポケットにしまった。いつの間にか涙も乾いてきている。あまり液体が浸透しないから、人間よりも速乾性が良いのは事実だが。
「さて」
人間らしさを意識して、目をゴシゴシと拭う。幾分か、悲しみは薄れた。
「授業あるし、戻らなきゃ」
本当は、あの教室に戻るなんて考えたくない。けれど、授業を受けなければ、先生にも、親にも迷惑をかけるし、病院では叱られてしまう。普通の生活というものを送らせてもらえている分、彼らの役に立たなければ。
「それに、駿を見られるからね」
彼の姿を脳裏に浮かべ、頰が綻ぶ。やはり、私は彼が好きなんだ。この恋が、叶うはずがないと知ってても、なお。
「やっぱり、人間との恋愛はダメなんだね」
だって、私は
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