カクヨム
900文字クッキング~チキン南蛮篇~
「さあ、はじまりました。900文字クッキングの時間です。きょう、先生に作って頂くのは、チキン南蛮です!」
満面の笑みのアシスタントに対して、どこか殺気立っている、先生と呼ばれた中年男性。
「みなさまに用意して頂く食材は、カクヨムのアイドルであるトリと……、あとは文字数がないのでググってください!」
やはり満面の笑みのアシスタントが、調理台のうえに置かれていた白い布を取り払うと、気絶しているトリが姿を現した。
「まずは、捕まえたトリの頭を擂粉木で叩きます。そのときは、難しいお題を出すな、なんで私の傑作が読まれないんだ、カクヨムコン落ちた、など、心にたまった鬱憤を吐き出すように、思いっきり叩きましょう」
「先生。そうすると、おいしくなるんですか?」
「いいえ。単なる気晴らしです」と言いながら、先生が、トリの頭を無言で、無慈悲に擂粉木で叩くと、ブギヒーという声とともにトリが起きた。
「ここはどこだトリ。きみたちはだれだトリ?」
うるさく叫ぶトリをふたたび擂粉木で殴りつづける先生。そのたびに、ブギヒーと鳴くトリ。
「何度も何度も恨みのかぎりに叩き続けると、肉が柔らかくなるかもしれません」と先生。
「トリが動かなくなりましたね、先生!」
やはり満面の笑みのアシスタントの声に、「そうなったら、次は捌きます」と、先生が、トリの眼前に包丁を突きさした。
「ピギー、やめておくれよ。僕が何をしたって言うんだよ」
「トリあえずなんて、書きにくいお題を出すから、こういうことをしなければならなくなった」
「それは僕のせいじゃないよ。運営のせいだトリ~」
「それだけじゃない。私の傑作のPVが増えない。短編たくさん書いたのに、全部落ちた。それに……」
「それは、僕も運営も悪くないトリ。君の実力の……、ぐぎゃー」
(残酷描写の規定に抵触するため、省略)
「とりあえず、捌いたトリ肉は、横に置いておいて、普通の食材でチキン南蛮を作ります。作り方は適当にググってください。以上です」
話し終えた先生に向かって大きくうなづいたあと、さばかれたばかりのトリ肉をゴミ箱に捨てるアシスタント。やはり、満面の笑みだ。
「しゃべるトリの肉なんて、気持ち悪くて食べられませんからね~。それではまた、次回!」
手を振る二人。
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