第2話 暗い想いに別れを告げて、名前も捨てる

「革命軍に入るって言っても、どうやって行くんだよ」

従軍時から耳には入れていた組織、革命軍

しかしながらその実態はほとんど明かされていない

独裁政治を敷かれた国家の国民が国を変えようと立ち上がり、戦いを起こす団体に資源や武器面から援助、稀に参戦するような軍隊

その本部や全容に関してはその一切を外に出しておらず、知っている者は限られたもの、、それも、内部の者のみだ

「俺、じつは革命軍に身内が居るんすよね

 あそこの頭に拾われてて、革命軍に関しては家みたいなもんです」

「はぁ”!?」

さらっとえげつない事を言うフェン、裏切っていたわけではなさそうだがまさかの革命軍の身内だとは思ってもいなかった

しかしこれで先程迄の自信の理由が分かった

本部への行き方もフェンが連絡をしてくれるとの事

連絡中のフェンと共に取り敢えず中心部から東へ離れていく

そういえばこうして街を歩いていると、見かけ上は綺麗でも所々 悪い気 が漏れ出ている場所があるのが目に付く

やはり力技で国を支配したとして、運営までは気が行かないのだろう

所詮軍人上がりだけでは国を支配できる訳では無いと言われているような現状だ

(アタシは、、これで正解だったのかなぁ、、)

なんて、この現状を見ては落ち込む

最低年齢の15から軍人として国に命を捧げるため日々訓練や遠征で結果を出してきた

列席者となった18からは命を懸けてこの国の象徴であり元首である総統を守り通すため、己が命が危うかったとしても国の利益を取ってきた、、はずだったのに

「、、ょう、、、隊長!」

そんなネガティブな事を考えているアタシの意識がフェンの声で戻ってくる

「ッ、、あ、どしたぁ? 連絡付いた?」

「、、つきましたよ、今は距離近いらしいんで転移しますね 向こうで玄関開けてくれるらしいんで」

一瞬不安そうな顔つきをしたフェンが一つ溜息をついてから状況を報告してくれる

態々開きにくい玄関を開けるところから恐らく歩きや飛行では行けない場所に本部を構えているのだろう

「おっけ、アタシ行先分からんから転移頼むね」

と、フェンの方向へ手を差し出して握り、目を瞑る

転移魔法と言っても使い勝手はあまりよくはなく、まず行先を知っていないとその時点で発動はできない

そして転移先でも 玄関 が敷かれていないと失敗してしまう

アタシらの城にも使われていた警備体制だ

ひゅんッ、と軽い音がしてアタシたちを取り巻く風が変わる

転移は成功したのだろう、と目を開ければそこは幻想的な光が続いている今までいた国ではない場所

「こ、、此処、?」

きょろ 〃 と周囲を見渡す

足元にあるのは紫色の魔法陣、、玄関だ

立っている場所には大きな門があり、其処からまっすぐ前に2つの優しい光が道を作っている

「ええ、幻想的でしょう? まっすぐ行くと家が出てきます」

自分のものを自慢するような声音で真っすぐ前を見据えてそんなことを言うフェン

そう言えば従軍時はこんな顔を見せたことはなかったよな

なんて思いながら、行きましょうかとフェンに手を引かれて一歩踏み出す

ある程度歩いたところで人影が

「フェン! お帰りぃ!」

弓矢片手に独特な装束姿の白髪の女性が此方へ走ってくる

「姐さんただいま! 元気だった??」

「お~う元気だったぞ、もう彼奴が超仕事入れちゃうから過労死しそうだよ私、、w」

ぽんぽんと交わされる兄弟の会話からいつの間に除外されるアタシ

そう言えばあたしにとってもこんな人、居たんだよなぁ、、なんて眺めながら思っていると装束姿の女性が此方を向いて挨拶をする



「挨拶が遅れて大変申し訳ございません

 ようこそエリンジウム様 我らが根城、、革命軍の本部へ

 私の名前はアカネ、暮月アカネと申します」



丁寧に腰を折り挨拶をする目の前の女性





「そして、これから宜しく頼むな ガネットさん」








この世界で 名を呼ぶ と言う事は、家族以外であれば 仲間として迎え入れる と言う事になる


アタシは今日から、革命軍の仲間として活動することに








「もちろん、此方こそよろしく頼みます アカネさん」

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拝啓 元戦友たちへ Dream @noa5268

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