第5話 第二夜

自動販売機で4本目の熱い缶コーヒーを買って、公園の屋根付のベンチに座った。

赤い満月の夜。口からタバコと一緒に吐き出す息は真っ白だった。

俺は真冬に依頼主と待ち合わせをしていた。


複数の自動販売機や大きな池。防犯カメラが付いたトイレ。広い公園だった。

その依頼主はサラリーマンだ。


どうも、最近の妻の様子がおかしい。不倫をしていたら、どうしていいか分からない。

調査を依頼したいと俺に告げた。


俺はすぐに引き受けた。

寒さこの上ない深夜の一時だ。

俺は厚手のジャンパーを着ているが、缶コーヒーとタバコとトイレが欠かせない。


依頼主はまだ来ない。

あれだけ、不安そうだったが公園で一時間も待たせるなんて何か起きたのだろう。


俺は舌打ちして、タバコを投げ捨てると帰ることにした。


公園の入り口までトボトボと歩いていると、ふと気になった。

枯れた雑草の上に誰かが倒れていた。


酷い夜だった。


まるで、チェーンソーを持った怪物が哀れな犠牲者を解体するかのような。


シンと静まり返った公園は赤い月の色で染まっていた。

俺は茂みを覗くと、それは血塗れの依頼主だった。


俺は即座にスマホでその男を撮ると、財布があるかどうか調べたかった。だが、それは駄目だとわかっていた。


十一時頃に雪が降り、足跡は二つ残っていた。一つは公園の外へと向かっている。

足跡からして女か子供だ。

何故なら歩幅が狭い。


出て行った方角には住宅街へと続いている。


俺は犯人の足跡を追跡した。


十字路の片隅に今でも明かりが点いている家があった。

三階建てで広い庭がある。


金に困るほどの借金でもあるのだろうか?


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