第31話 理由

仕事をしていると、香雅里さんが知らない男性と食料品売り場にやって来た。

わたしを見つけて、手を振られたので、ぺこりと頭を下げた。

香雅里さんが一緒にいる人に何か言うと、その人はどこかに行ってしまって、香雅里さんはわたしの方にやってきた。


「お買い物に付き合って」

「お仕事の範囲内なら」

「それなら大丈夫」


香雅里さんはにっこりとほほ笑んだ。


「颯真の名前出したから」


意味が分からないでいると、スーツを着た男性が、さっきまで香雅里さんと一緒にいた男性と一緒にやって来た。


「小鳥遊さん、こちらの方のお買い物が済むまでご一緒して」

「あ、はい」

「くれぐれも粗相のないように」

「はい」


スーツを着た男性が香雅里さんに頭を下げた。


「許可ももらえたし、行きましょう」


わけがわからないまま、香雅里さんの後をついて行った。

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