出社して一番に、課長の元へ急に休んでしまったことの謝罪に行った。

「3日間もお休みしてしまって、ご迷惑をおかけしました」

「もう、体調はいいの？」

「はい。休んでいた分の仕事は今日中に――」

「それはもう、別の人にやってもらったから」

「そう、ですか」

「小鳥遊さんには、辞令が出てるから」

「辞令ですか？」

「急なんだけど、来週の月曜から百貨店の方に異動してもらうことになったから」

この時期に異動？

「あの、どうしていきなり異動なんですか？」

「上からの指示だから、僕には何とも……」

「課長？」

「とにかく、もう決まったことだから。今抱えてる仕事は、今週中に誰かに引き継ぎしておいて。と言っても、君の仕事なんて引き継ぎに2日もかかるようなものはないだろうけど」

課長は「話は終わり」とでも言うように、自分のデスクにある書類に目を落とした。

今週中って……

昨日まで休んでたから、もう今日と明日しかない。

たったの2日間では取引先の担当者に挨拶すらできない。

どうしてこんなことになっちゃったの？

呆然として席に戻った。

引き継ぎって……

周りを見渡したけれど、心なしか誰も目を合わせようとしてくれない。

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