第2話 気づいてた
優次とは同期入社で、百貨店のIKEDAを展開する、株式会社池田で同じ販売促進部。
2人とも甘い物が好きで、一緒に「ケーキフェスタ」を企画した時に、店舗の選定や出展交渉などで、長い時間を過ごすことが増えたのがきっかけで、優次の方から告白され付き合い始めた。
付き合い始めてからは、彼に頼まれて、自分で企画をたてるより、サポートすることの方が増えたけれど、イベントに出展したお店が喜んでくれて、お客さんが嬉しそうに買い物する姿が見られれば、それで構わなかった。
そんなイベントの成功が続き、優次が、あっと言う間に主任になった時も、自分のことのように嬉しかった。
職場が同じだから、明日からどんな顔をして会えばいいのか、考えたら憂鬱になる。
でも、付き合っていたことはずっと隠していたから、お互いが気まずいくらいで、他の人に変な気を使われない分、マシと考えるしかない。
優次の新しい彼女は、女の子っぽい、かわいい服を着ていた。
それに、ハイヒールを履いていたけれど、優次と並んでも、彼女の方が背が低かった。
身長が172cmあるわたしが5cmのパンプスを履いてしまうと、178cmの優次と身長が変わらなくなってしまう。
だから、「自分より背の高い女は嫌いだ」と言う優次に合わせて、いつもヒールのない靴を選んでいた。
バレシューズやスニーカーに合わせるから、服装もカジュアルで、ジーンズのことが多かったから、さっき見た子とは大違い。
優次と付き合っていた2年の間に、何度か「浮気してるなぁ」と思うことがあったけれど、少しすると相手とは別れていたから、そのまま見て見ぬフリをしてきた。
だから今回も、「あやしいなぁ」とは思っていたけれど、またいつもの浮気だと思い、気が付かないフリをしていた。
きっとまた、相手とはすぐに別れると思っていたから。
でも、違っていた。
いつの間にか、わたしの方が浮気相手で、浮気相手だと思っていた相手が本命になっていた。
何となく、頭のどこかでいつかはこうなることが、わかってたのかもしれない。
だから、優次にフラれたことよりも、あの見知らぬ男に言われた言葉の方に傷ついた。
気づいてたよ!
二股かけられてたことくらい!
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