【#34】奇策からの拘束
「もう全部脱いじゃいますねぇ〜〜!?」
:は!? 待って待って待って!?
:おーーーーーーーい!? 酒クズちゃんが……脱ぐぞぉぉぉおおーーーーーー!?
:よ、よくわからんが……とにかく録画するんだーーーー!!
「ふふ……いきま〜〜す♡」
そうして着物の胸の辺りをはだけさせてブラジャー姿を
「ちょっ!? 酒クズ!? 頭おかしくなっちゃったの!?」
「……知りませんでした。まさかアヤカ殿がこんな"
く、くそっ!? 否定したいけど、今はできない……!? 確かに突然人前でブラジャー姿になる今の俺の姿は、まさに"変態美少女"そのものなのだから。
だが、これが"必要な行動"なのは、二人にもすぐにわかるはずだ。……というか、そうじゃないと困る!!
そして、狙い通り──その時は訪れたのだった。
『フォフォフォ〜!? なんて美しい身体じゃ〜!?』
まるで至福の時間のように、鼻の下を伸ばして覗いてくるマクサルの幻影。
『く、くそぉ!? み、見えぬ!? もう少し……もう少しで胸の谷間が見えそうなんじゃが……!!』
今の角度からでは見えづらいのか、まるでニワトリのように首を動かしながら俺の身体を覗き見てくる。
予想通り、マクサルはまごうなきスケベジジイだった。それもかなり筋金入りの。
『──こっちか!? ここからなら見えるかもしれぬ!!』
そして、マクサルが必死に覗き込もうとした時──俺は腰の妖刀に手をかけて呟く。
「──そこか」
『えっ?』
中央階段を一気に駆け上がっていく。目指すは二階に飾ってあった巨大絵画。妖刀を
「捕まえたぁぁあああああああ!!!!」
「ぶげぇぇえええええええええええええ!?」
そして、俺はそのまま巨大絵画を突き破り──ついに”隠し部屋”に潜んでいたマクサル本体を見つけた!!
その後、すかさずマクサルを組み伏せて、敵の喉元へと妖刀を突き付けながら宣言する。
「──これで”詰み”ですね?」
「そ、そんなバカなぁ〜〜〜!? な、なぜワシの居場所が分かった〜〜〜!?」
その質問に対し、俺は着物を元に戻しながら言い放った。
「……あんなにジロジロ見ていたら、どこから見てるなんてバレバレですよ?」
:なるほど!!
:そうか。そういや”幻影は本体と同じ動きをする”って話だったもんな
:まさに『女の身体は武器』ってことですか
「し、しまった……!? ワシとしたことが……まさか智略で出し抜かれるとは……!?」
やがて、ミカリアちゃんとフィオナさんの二人も揃って、隠し部屋まで歩いてきた。
「思ったより、やるじゃない? 酒クズ?」
「まさかアレが作戦だったとは……アヤカ殿!! ”変態”だと
:まー、アレは騙されてもしょうがない
:かなり自然な露出魔の演技だったからな
:でもさ、酒クズちゃん。どうして他の二人に相談しなかったんだ?
「そ、そんなの……恥ずかしいからに決まってるじゃないですかぁ~~~!? それに、この二人にもそんなコトさせられるワケないです!!!」
:まったくだな
:やるのが酒クズちゃんでよかった
:とにかくナイス作戦でした!! ……色んな意味で!!
そんな和やかな空気に包まれる中、ミカリアちゃんがニヤニヤした顔で宣言する。
「さぁ~~て♡ あとはミカリアの出番ね♡」
「ぐふっ!?」
ミカリアちゃんはマクサルの背中に乗っかると、まるで脅しつけるようにその顔を見つめながら言う。
「これからミカリアがい~っぱい楽しませてあげるねぇ♡ たぶんうまく加減はできないと思うから覚悟しててね~~~♡」
「ヒィ~~~~~~~~!?」
◇◆◇◆◇
「ぐ、ぐへぇ~~~~!? わ、ワシが悪かった~~!? 勘弁してくれぇ~~~~~~い!?」
絵画内の隠し部屋で、全身を光の
完全に身動きが取れなくなった老執事の悪魔は、顔にダラダラ冷や汗を流しながら俺達を見上げていた。
「あららー♡ 情けないわねぇ〜♡」
天使とは思えない
「さっきまで偉そうだったエロジジイ悪魔も、このミカリアの【エンジェル・ウィップ】で一発締めたらイチコロねぇ〜♡ さて、このザコはどう料理しようかしらぁ~~~♡」
この光の
やがて、フィオナさんが鋭く左目を光らせた怖い顔で告げる。
「さぁ、早く解除しろ!! ティーシャ
すると、マクサルは思いもよらない事を言った。
「ひ、ひぃ〜〜!? す、すまぬ!! 実はアレ……ウソなんじゃ!!
「「「は……?」」」
:おいおい、待てよ……
:じゃあ、最初に言ってたのは……
「そう!! アレはハッタリ!! ようするに、”ブラフ”じゃ!! 本当は我が
「はぁ~~~~!?」
その言葉を聞いて、俺達三人は完全にブチギレてしまった。中でも一番ブチギレてたのはミカリアちゃんだ。
「だったら……代わりに言う事あるでしょ?」
「な、なんじゃ?」
ミカリアちゃんはその質問には答えず、イライラした様子でマクサルの前に着地した。そして──。
「その”剣の悪魔”の居場所を──吐くのよ!!」
「ぐぼぁぁ!?!?!?!?!?!?」
天高く上げた右足を思いっきり振り下ろした──マクサルの股の間へと。
「「あ……」」
:うわーお……
:やばいって、それは!?
:
呆然とする俺とフィオナさん。
想像するだけで、痛い。俺も元は男だったからよく理解できてしまう。ミカリアちゃん、それはやりすぎだよ……。
流石の悪魔でもそんなクリティカルな一撃には耐えられなかったらしく、マクサルは激痛で涙を流しながら懇願してくる。
「わ、わかったーーーーーーーーーー!? 頼むからやめるんじゃぁーーーーーーーーーーー!? こんなん老人虐待じゃぞーーーーーーーー!?」
「フン、だったらさっさと白状する事ね~~♡」
「く、くそっ!! まぁ、ええわい。もう十分時間は稼いでおるからの──お主ら、あの壁を押してみぃ!!」
そう言って、マクサルは隠し部屋の中にある壁を顎で示した。その指示通り、ミカリアちゃんが押してみると──。
「──あっ、動いた~♡」
ゴゴゴ……と壁がスライドして道を作った。奥にはまだ通路が続いており、その暗闇は俺達を
それからフィオナさんが魔力の光で通路内を照らした後、俺の方へと振り返りながら言ってくる。
「行きましょう、アヤカ殿」
「えぇ♪ 例の悪魔……ぶっとばしてやりましょう!!」
そうして、通路へ歩みを進める俺達三人。一方、その頃──。
「ちょっ!? ワシを置いていくなーーーーー!? おぉーーーーーーーーーい!?!?」
光魔法で縛られたままのマクサルが、必死に俺達に助けを求めていた……。
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