2章
【#12】ウサミミギャル忍者、ラビスさん
それはティーシャと再び会う日のこと。先日、彼女から撮影ドローンを頂く約束をしたのだが……。
【ティーシャとアヤカのNINE(ナイン)会話ログ】
ティーシャ:おはよー、アヤカちゃん。もう起きてる?
アヤカ:起きてますよ〜、おはようございます! 今日は渋谷ダンジョンで待ち合わせですよね!
ティーシャ:そう。その件なんだけどさ
ティーシャ:実は今日ね、あたしの友達が『どうしてもアヤカちゃんに会いたい』って言ってて……その子も一緒に連れてきていいかな?
アヤカ:え? わたしは構いませんが……どなたですか?
ティーシャ:うーーん、それがね『驚かせるために教えないで!』って言われちゃって
アヤカ:えーー!? それ余計気になります!?
ティーシャ:と、とにかくそーゆーことだから!! とりあえずアヤカちゃんはダンジョンで待ってて!!
◇◆◇◆◇
【渋谷ダンジョン・地下16階(フリールームから出た場所)】
「うわぁ……ティーシャの友達、いったい誰が来るんだろうなぁ~~!? 怖いよ~~、フワンちゃん~~~!?」
「ピィ~~?」
彼女の友達に失礼なことはできない。
ティーシャとの待ち合わせの間、俺はギガント・シマエナガのフワンちゃんにしがみつきながら震えに耐えていた。
あぁ、こういう寂しい時はモフモフがすっごく心を癒してくれる……。
そんな不安な時間を過ごしていた時。
(──来た!!)
俺の近くに出現する魔法陣。それはティーシャの転移魔法によって出現したものだった。魔法で生じた煙の中に二人の人影が現れる。
「アヤカちゃん!! お待たせ!! こちらは──」
そうしてティーシャが紹介しようとしたのだが。
「ちーっす!! 酒クズパイセーーン!! 会いたかったッスーーーー!!」
「うわわーーーーーーーー!?」
その”誰か”がいきなり抱き着いてきた!! 慌ててそちらを見てみる!!
俺に抱き着いてきたのは、金髪ウサ耳の美少女だった。
少しクセ毛気味になったポニーテールの金髪。頭から生えた可愛い二つのウサ耳。瞳はエメラルドのような緑色。その明るい顔からは"陽キャ"のオーラがガンガン出ていた。
服はバニースーツの上にくノ一のようなシノビ
彼女はネットでも有名な配信者であり、俺も当然のように知っていた。その名は──。
「まさか……Sランク白ギャル忍者の”ラビスさん”!?」
「
ラビスさんは俺からようやく離れた後、頭のウサ耳をピョンピョン動かしながらお得意のピースサインを見せてきた。
「改めまして、ウチは
「よよ、よろしく……!!」
俺が緊張のせいで"借りてきた猫モード"になった時、ティーシャが横から助け舟を出してくれた。
「ほらー、ラビスちゃん。アヤカちゃん、やっぱ怖がってるじゃん? だから、あらかじめ教えた方がいいって言ったでしょー?」
「いやー、申し訳ねぇーッス。ティーシャパイセン。ウチぃ、どうしてもインパクトある登場したかったんス~~♪」
(し、心臓に悪いな……)
そうやって呼吸を整えていると、ティーシャが思い出したように言ってきた。
「そうだ、アヤカちゃん!! ──ハイ! これ約束の撮影ドローンね!!」
「おぉ!! これが……!!」
俺はティーシャからドローンを受け取った。ドローンは最新型のやつで、ティーシャが使ってるのとお揃いだった。
これがタダって……ティーシャの
「ありがとうございます!! 大事に使わせていただきます!!」
「は~い♪ それを使ってアヤカちゃんがこれからどんな面白い配信するか、今から楽しみだよ~~」
そうしてドローンの受け渡しが終わった時、ティーシャはラビスさんの方を見てピンと来たように言った。
「そうだー!! 次のコラボ配信はさ、ここにいる三人でやろっか!?」
「──えっ!?」
い、今なんと……!?
すると、ラビスさんもウサ耳をピョンと立てて話に乗ってくる。
「おーー!? いいっすねー!? 実はウチもパイセン
「ね? アヤカちゃんはどうかな?」
「え、えぇと……」
すると、俺は腰に差していた水筒を開封し、そのまま口元へと一気に運んだ。中身はアルコール度数の高い焼酎。まろやかで飲みやすく、ゆえに余計に酔いやすい酒である。
俺はその焼酎をあっという間に飲み干すと、酔った勢いそのままに叫んだ。
「やりまーーーーーーーーーっす!!!!」
「「おぉーーーーーー!?」」
軽く拍手するティーシャとラビスさん。それから二人もますます話を盛り上げてくる。
「それじゃ、どこいこっかーー? みんなで楽しめる場所がいいよねー?」
「あっ、それじゃあそこはどうッスか~!? ”池袋ダンジョン”!! あそこの洞窟にある地底湖でみんなで泳ぐッスよ~~~!!」
「それいいねぇ~~♪ ──アヤカちゃん、早くも一緒に水浴びする約束が叶えられそうだねぇ~~?」
「ふふっ♪ そうですねぇ~~♪ ……ん?」
そこで俺は一つ重大な問題に気づいた。
「そうでした〜!? わたし、水着がありません!?」
「「あっ……」」
顔を見合わせるティーシャとラビスさん。それからティーシャが一つ提案してくる。
「アヤカちゃん、クラフトで作るのはどう?」
「たた、多分それでもイケるんですけど〜、わたしのデザインセンスじゃダサいヤツしか作れなくて〜〜──ほらぁ!」
俺はフリールームへひとっ走りすると、クラフトで自作した私服を引っ張り出してきた。
『酒人』と墨で書いたTシャツ。パリピっぽい☆型のサングラス。よく分からん英語が書かれたズボン……。
「ブハハハッ!? アヤカちゃん!? なにこの面白いTシャツ~~!?」
「さ、酒クズパイセーン!? すごいセンスッスねー!?」
すっかりツボに入ってしまったらしい少女二人に、俺は私服を抱えたままガックリする。まだネタにしてもらってるだけマシだが……。
「まー、そういうことなんですよ~。クラフトはシンプルなモノを作るなら問題ないんですけど、オリジナリティを出そうとするとデザインセンスがいるっぽいんです~~」
「なるほどッスね~。クラフトの思わぬ落とし穴ッスね~」
それからティーシャとラビスさんは、酔った俺を両側から挟み込んできた。そして、そのまま左右から腕を掴んで宣言する。
「アヤカちゃん!! 今すぐ買いに行こーー!!」「うっす!! ウチらが酒クズパイセンに一番似合う水着を選んであげるッス~~!!」
「あぁ〜♪
そういうワケで、みんなで水着を買いに行くことになった。
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