幕間:黄河最西方面 / いざ戦場へ
[中国西方面 新疆ウイグル地区]
「おいおいコイツらどうなってんだ!?なんで西の奴らがここに来るんだよ!」
「知らん!とりあえず迎撃しろ!」
それは長閑な真昼間だったが急にその状況は一変した。
遠くの方から榴弾がいくつも飛んできて家屋を破壊している。それに乗じて山岳地帯の方から少なくとも20両以上のPL-01の機甲部隊が走行してきているようだ。
空の方からはUH-60に乗った敵兵が接近していた。
『こちらA-220、ヨーロッパ区域の西方連盟より襲撃あり、至急応援を...』
一方、香港。街中は多くの人々で賑わい、売店などで人々が楽しそうに会話をしている。その香港で一番高いビル、世界貿易センターの80階の黄河中央防衛協定本部にて話し合いが行われていた。
「現在、新彊ウイグル地区方面に西方連盟の軍が侵攻している。それに関係しているのかもしれないがつい先ほど東方解放前線から『北方面からランサー・パクトが上陸、侵攻中』と連絡が来た。おそらくついに動き始めたのだろう。奴らは。」
「どうする?既に被害は2中隊を超えている。戦車の数をあまり多くないぞ。ここであえて日本に攻め込むべきか?それとも一時的同盟を結ぶか...」
「埒があかんぞ!早々に決断しなくては全員皆殺しにされてしまう!」
あらゆるところから大きな議論の声が出る中、議長らしき男が大きく声を張った。
「皆黙れ!結局攻められるのはどちらも同じ。今敵を増やし両方から攻められるのは得策ではない。従って、ここは奴らと同盟を組んだ方がよかろう。」
そう男が言うと、周囲の人間はまた怒号をあげた。
「何を言っている!あんな低いやつらと同盟を組むだと?馬鹿馬鹿しい!まだ西方連盟と講和する可能性はあるというのにそんな軽々しい決断を!」
批判した男は周囲から「そうだそうだ!」と賛同の声も上がったが、それを意に返さずその決定を変えない。
「それでは、日本へ向かうとするぞ。事前に許可を取っておいてくれ。」
何とも妙にあっさりとした感じだったが何か思惑があるのだろう...
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ヘリは依然日本海側へ向かっている。ヘリの中は意外にも快適だが、若干椅子が硬い感じだ。
「それにしても、なんでヨーロッパからはるばると…そもそも普通に見つかりそうだけどな」
「それがどうも分からないんだよね…本当に急にカメラに現れた感じ?しっかり沿岸部にはレーダーを配備していたはずなのにねぇ」
敵側がどんなトリックを使ったのか知りたいところだが、そこは戦いが終わった後に知るとしよう。
目的地に近づいてヘリのドアを開けると、地上を見ると家屋が崩壊し地面はボコボコに抉れていた。さらにすでに発砲音がとても近く、ヘリに当たっている音もする。
「ひどいな…もう榴弾砲とか設置されてるのか、侵攻速度が速いな」
その惨状を理解して、これからその戦いに行かなければならないという決心をしてから収納していた武器を取り出して戦闘に備えた。正直人を殺すことはもうしているし早くも慣れてしまったらしい。既に五日前に証明されてるしね。
「よし行け行け行け!」
ヘリが地面に降り立った瞬間私達は一斉にヘリから降りて遮蔽物に隠れた。銃弾が視界を掠め流れていくのを見てヒヤヒヤする気持ちだ。
「これからどうする?」
「敵を押し返す、それだけだ!」
一夏の合図と共に敵へ射撃し始めた。すでに街中のあらゆる所に敵兵が潜伏していて倒しても倒してもきりがない。
気付いたら弾薬がすでに半分ぐらい無くなっていた。
「これ空爆要請とかできるか?」
「空爆要請!?えーっと…駄目だ、航空戦力は今交戦中らしいから無理だって」
仕方ない、これは特攻しよう。
「ちょっと伏せてて、これ撃つから。」
とインベントリから
「…なんで持ってるの?それ…」
「以前道端に落ちてた。50発たんまりあるからな!」と敵のいる家屋へ弾を撃ちまくって強引に敵を散らす。
「今だ!」
爆風が煙幕の代わりをしているうちに家屋に入り込み、上階から敵を殲滅していく。
「…聞くけど、一夏。
「…親の仲が悪くてね、ゲームとかちゃんと買ってくれるけどその割に暴力してくるし、しかも飯をしっかり食べれなかったからこの世界に来て良かったとその時は思ったよ。」
「…辛かったんだな。」
少し虚しい気持ちになった。いくら平和な世界であっても、その断片を覗いたら暴力や犯罪が残る。黒とはいくらやっても消えないものということか。
少し進んだ所でニコライと合流した。
「そっちはどうなんだ?」
「出会ってから口調が図々しいな…まあいい、それよりも情報が入った。黄河中央防衛協定から『中国北西部から西方連盟軍が侵攻中』と。それでどうやら一旦前線と軍事同盟を結びたいとのことだ。」
「西方連盟軍?あのランサー・パクトとかじゃなくて?」
「ああ、あれ以外にも組織はヨーロッパ周辺に沢山居るぞ。連盟軍ということは、其奴らがアジアを全員で攻めて山分けしようっていう魂胆だろうな。それで全く敵が減らない訳だ。」
それに加えて戦力追加の狙いもあるのだろうと付け足す。
まあアジア周辺は人口がとても多いから戦力確保には十分足りる。それでその戦力をどこにこの先ぶつけるのかが疑問、それにしても援軍が増えるのはありがたい。
中国の奴らがしっかりした人間だといいが...
(ほんの少し中国に悪いイメージを持っている。)
「この先は砲撃が激しい、地下を掘り進めていくんだ。」
気が付くとみんなシャベルを持って地面を向いていた。自分はシャベルを持っていないでそのまま武器を持っているのだがまあとりあえず援護という形だろうか。
「え、何してるの?まさか人力で穴を掘って地下壕みたいにするの?さすがに今からそれは...」
「ゲームだからできるの!」
すると一斉にみんな地面にシャベルを突き立てて地面を掘り始めた。恐ろしいくらいの速度で地面が掘られて地下の道が作られていく。
「ええ...いやさ、普通こういうのって木とかで土が崩れないように支えながらつくるんじゃないの?さすがに掘り進めるだけで道ができるって、はあ」
なんだかだんだんこの状況に呆れてきた。殺伐とした世界の中にいるはずなのに周りが正常に見えない。自分以外のチームのみんなが土を掘りなが前進していく。ここまで違和感がある光景は今までに見たことない、ってくらいなんかちょっと笑えそうな感じだ。
あと掘ったはずの土がどこかに消えていくのもよくわからん。
「敵の真下に付いたな、セムテックスをコンクリートに設置してから離れて衝撃に
備えろ。」
「了解。」ちょうど掘り終わったみたいで、とても大きい砲撃の音が聞こえる地面の真下に来たようだ。そして今から地面を爆薬で吹き飛ばし突入して味方の進軍を助けるそうだ。
「地面を掘って敵の真下を爆破して突入するって...現実じゃあ到底考えられないな」
「物理法則がそもそも違うもん、ゲームだからできるんだよ。」
「ゲームだから、ねえ...まあこれも現実って思ってるからだめなのかな。」
若干ネタにも思えるし、まったく笑えない状況でもある。でもこの先生きれればどうでもいいこと、今は今を生きることしか考えられないからそんな些細なことに頓着している場合ではない。
「よし、突入するぞ!」
爆発音とともに、私のこの世界に対する疑念は一つ消え、
戦いに意識を完全に向けた。
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作者です。えっと、PCを充電せずに編集しててですねまったくPCの充電がない...w
とりあえず最新話書きました。あとこの戦いが終わったらある程度ほっこりタイムが来るのでそこまで我慢しててね!
あと転〇ラ3期終わっちゃった( இωஇ )(多分)
4期はいつになるかな...一応漫画最新刊まで買ってるんですけど小説も一緒に買ってるからなあ...(もうええわ)
それではこれ以降の話もご期待ください!
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