緊急要請
さて、ニコライとやらに呼ばれて執務室に来たわけだが、どうも何か頼み事があるようで。
「さて、今現在東方解放前線は日本海側に多く拠点が点在している。なぜだかわかるか?」と急に問いかけてきた。
「なぜかって...中国側の黄河中央防衛協定?から来る攻撃を防ぐためか?」
とりあえず一夏からちょっとだけ教わったことを踏まえて言ってみた。
「まあ、大体そうだ。あっちは朝鮮半島方面からちょくちょく攻撃してきてな。
俺たちも手を焼いている。だが、今回の問題はそいつらじゃないんだ。」
胸ポケットから煙草とライターを取り出して火をつけながらそう言った。
「え?」でも攻められるとしたら中国方面しかないはず...というか勝手に煙草つけてるし...正直言って煙草の匂いは苦手だ。
「あの人相当なヘビースモーカーだから仕方ないよ...一日30本以上吸ってるんだもん..」
と小声で一夏が言ってくる。
「さ、三十本!?」
「シーっ..」
あ、やばいちょっと声出ちゃった...まあばれてないようだし仕方ないか。
「実は、今回攻めてきたのは西側諸国のランサー・パクトだ。何の理由があるのかは分からないが、とりあえず複数の部隊が日本海側から攻めてきた。本部が対応できないから応援を寄越せと言ってきたから、俺達も行くことになる。そこで天音、お前も一緒に来い。初任務だ。」
「…」
勝手に任務に入れられようとしているのですが…まったく訓練してないんですけど?まだたった半日ぐらいしか練習してない新人に行かせるとはどんだけ人員が少ないんだこの組織...
「一応聞きたいんですけど、ほかの友軍は?」
「歩兵中隊が2つ、その他砲兵や空挺小隊が5つだ。若干数ではあっち側が勝っているが、そこで俺達が呼び出された。」
なるほど。数で負けているならばまだ質で取り返せるという魂胆か。
ちょっとその本部の発想がどうかと思ったが…戦争は正確には質ではなく
数だからなあ...
「とにかく、武器の準備をしてくれ。3時間後に出発だ。」
「あ、はい。」
こうして、急に呼び出された挙句急に任務に出発することになったのだ。
執務室から出て一旦部屋に戻った。
「えっととりあえず二脚は持っといて…あと75発弾倉も荷物に入れといてと。…これはいらないか」
スマホで荷物の出し入れが全てできるし全く重くない。好きなときにいつでも出し入れが出来るので、荷物の管理が楽なのだ。まあその持てる数に制限はあるけど。
「服装は…そもそもこれしかないから別にいいか。そういえば、以前防弾アーマー回収しといたような…いや一度使ってそのまま捨てちゃったな。そのあと見つけてもあんまり使うことなかったし...どうしよ、一夏は持ってるかな」
この体になってからはしっかり痛覚も感じることになっているので、どうにかしてダメージを防がなければならない。それで思い立ったのが防弾アーマーなのだが、それは今持っていない。ということで一夏に貰うことに勝手にしたのだが…
「え?防弾アーマー?あ~...ごめん、持ってない。」
一夏はいわゆる「当たらなければどうということはない!」主義らしく、
防弾チョッキなど持っていないとのこと。それを私に謝罪してきた。
「ああそっか、なら大丈夫だよ。」
そういいつつもちょっとため息をつく。やっぱりしっかり探索とかしといたらよかったな...だが、それよりもいいことを聞いた。
「あ、でも防弾アーマーならここで防具とか売ってる人がいるからそこで買えるはず...ごめん、忘れてた。金持ってるならそこ行くといいと思うよ。」
拠点内で武具等を収集している人が毎日売店でモノを売ってるらしく、そこに行けば
手に入るとの事。
売店の方に行ってみると、確かに防弾アーマーがあった。
「お、新人の人かな?見た感じ本当に最近入ったらしいね。どうする?何かしら買うか?まあ、だいぶ急いでるから何かしら急ごしらえで防護品を買おうと思ってるんだろうな。」
こちらの顔色を見ただけで何を買おうというのかがすぐにわかっているらしい。
「あ、うん。えっと防弾アーマーは...」
「ああ、それならあるが中にプレートも入れる必要があるから若干高くなるぞ?
まあ600ドルだな。」
600ドル...このゲーム基本5ドルごとに入手できるからまあ妥当か。今までだいぶ金は集めてあるからこの程度の出費は範囲内。初めてだし入念に買っとくのも問題はないだろう。
しっかり料金を支払い防弾アーマーとその中に入れるプレートを購入した。
そして出発30分前。ヘリポートへと向かうとそこには4機ぐらいの軍用ヘリが。
「こちとら現在人員が少ないのに貸し出せとは。本部の奴も相当焦ってるな。」
ヘリの前ではニコライが煙草をまた吸っていた。そんなに吸うと肺がんにでもなるだろうに、やめようとしないのだろうか...それを見る私に気づいたように後ろを向いてきた。
「天音だな。お前は一夏のチームと共に行動してくれ。一夏はこの拠点の中でも相当強いからな。お前が下手なことをしなければ彼女も死ぬことはないだろう。」
とても上から目線っぽいが、上司はしっかり部下の管理をしなければならない、こうやって教えなければならないのも当然か。
「ヘリに乗れ。そろそろ出発するぞ。」
ヘリ内に乗り込み、防弾アーマーを着用して準備する。こういう時にのどが意外と乾きやすいのでペットボトルを取り出し水を飲む。
「調子はどう?」
気が付くと一夏がすでに目の前の席に座っていた。まったく気配もせずに姿が見えないほどだったので若干びっくりして反応した。
「ま、まあ大丈夫だよ。喉の渇き心配する以外は」
「そう?その割には警戒を怠ってたけど。」
やっぱりばれていたようだ。
「戦場では常時警戒しないといけない。上下左右、両目をずっと開けながら相手に照準をあわせるんだよ。」
そういう彼女の目はまるで教導官のようで、とても強いまなざしだった。
「きつそうだけど、生きるためには頑張るしかないのか、がんばるよ。」
「出発するぞ!」
ニコライのその一言でヘリは飛び立ち、日本海側へと侵入者を迎え撃つために天音たちを送っていった。
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さて作者のお時間でございますが若干表現力が弱くなっておりまする...某動画サイトの見過ぎが原因だから禁止にしたいぐらいではある。
あれは時間が溶ける(事実)。
さあてニコライの立ち絵も一応あとで近況ノートに乗せます。
そしてこちらと多雨市鬥爭劇の方を同時更新することになるのでだいぶちょっときつくなりますが、頑張っていきます。
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