第4話 逃亡

「あっ!見えました!ミナカイ号です」

「よかった!まだ待っていてくれたのか!」

「俺らが暗殺に失敗するはずないって分かってたんだよ。」


小舟はミナカイ号に近づいていく。


「おーい!俺だ!ワンタだ!帰ってきたぞ!!」

ワンタが大きく手を振る。

......。

船から反応がない。

「おーい!!俺らが帰ってきたぞ!ガルザもいるぞ!!」

......。

「なんで気づかないんだ。おーい!!」

すると、ひとりの男が帆に合図の旗を挙げた。

「赤と黄の旗...?」

「逃げろの合図と乗り込めの合図です。何があったのか分かりませんが、とにかく急いで乗り込みましょう。」


テグラが櫂を速めた瞬間...。

サルファの櫂に一本の矢が刺さった。

「敵襲です!!」

「どこだ!?」

「左後方!!」

「サルファ下がれ!!」

サルファを下がらせると、弓をとり、速やかに照準を合わせて射る。

左耳を矢がかすめる。

こちらの矢も敵一人の耳を射抜く。

二本目の矢を射る。

サルファめがけて飛んできた一本の矢をワンタが剣で振り払う。

私の矢は一人の敵兵に命中し海に沈める。

その瞬間私の太ももに一本の矢が刺さる。

膝を船底につけながら三本目の矢を射る。


「ガルザさま、あの後ろにも船がいるでしょう、流石に敵の数が多すぎます!盾で防ぎながら進んで乗船を急ぎましょう!」

「いや、あの小舟の者だけでも...!」

「いけません!」

その間にも二本目の矢が足に刺さる。

「ワンタさま!」

「お、おう。ガルザ、船には味方がいる。乗船を急ごう!」

「ガルザさま!早く!!」

ワンタは半ばむりやり私を下がらせ、その間にサルファが船に備え付けてあった一つの盾を船尾に立てる。

「伏せてください!私がミナカイ号まで漕ぎますから!」

ワンタとサルファは伏せて敵の矢を防ぐ。

敵の船は次々と集結しているようで無数の矢が頭上を飛んでいく。


熟練水夫であるテグラが全力で漕いだことで我々の小舟はすぐにミナカイ号の真横につけた。


「乗船はどうすんだ、矢が雨のように降る中梯子を上るなんて無茶だぞ。」

「しかし、一刻も早く乗り込むしかありません...。」


その瞬間、喫水間近の板が外れ一人の船員が顔を出した。


「みなさん、こちらです!早く!」

「おう!助かった!!」


1人ずつ海に飛び込み、その場所まで泳ぐ。

私はサルファに支えられながら船員のところまで泳ぐ。

板の外されたところに着くと、船員の助けをかりて乗船する。

その間も船の外板に容赦なく矢が降り注ぐ。


全員が船に乗り込むと、3人の船員が新たな板を持ってきて釘で打ち付け船体に空いた穴を埋める。


「こちらです。」

船員の誘導に従い、中の梯子を上る。


「ここで休んでお待ちください。」

私たちはある部屋に案内された。



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