第14話 キャンプ 2

     キャンプ 2


「いただきま~っす!」

 バタバタしたけれど、カレーができてみんなで食べる。ちなみに、沢に行った組がとってきたのはカニが5匹、川エビが30匹以上、という成果だった。とりあえずボイルして、カレーに加えた。

 神乙女はこういうキャンプをしたかったようで、満足そうだ。

「さ、お風呂に入ろう」

 一応、みんな水着をもってきていて、小屋で着替えて、ドラム缶風呂に入る。一度に二人ずつ、ドラム缶の横で体を洗ったり、髪も洗ったりできて、そのために大量にお湯がいる。

 ボクはそのためにずっと火の番で、ドラム缶風呂と、かけ湯用のお湯をつくる係に任命された。女の子は二人一組、ボクは一緒に入れないし、家でも五右衛門風呂の火の管理はボクなので、ちょうどよい。

 早めに夕食をとったのも、明るい時間にお風呂に入りたかったからだ。

 ボクは火の番なので常に傍らにおり、女の子たちが水着でお風呂に入る姿を真横でみるのであって……。

 最初は向日葵と津紅実だ。大きい子が、小さい子の面倒をみる。これが子供たちの鉄則で、木の椅子に腰かけさせ。向日葵が津紅実を洗う。いつもの光景……でも今日は水着、それが妙に刺激的で……。


 次は、神乙女とポロニアだ。巨乳と、アルビノとはいわないまでも、色白の西洋美少女――。それだけでも奇跡の組み合わせなのに、目の前でヌルヌルの泡まみれで、お互いを洗い合う。

 大事なところが隠されているので、二人とも恥じらいがない。その大胆さが、むしろ感情を刺激する。

 次はマロンと菫だ。さっきぬるぬるでからみ合った、その記憶が生々しい。二人ともそれほど発育のいい方ではないけれど、マロンはこの前から様子が変だ。ボクの顔をみようともせず、赤い顔でそそくさと小屋にもどっていった。菫は二人きりになって、軽くボクと口づけをかわしてから小屋へともどっていった。

 最後はメイプルと、奎だ。

「お兄ぃも一緒に入ろうよ」と、奎がいいだした。

 確かに、もうお湯がなくならないよう水を足したり、温度を下げないよう薪を足したりする必要はない。どうせボクも最後にお風呂に入ろうと思って下は海パンで、上はTシャツだけなので、すぐに入ることはできるけど……。

「お兄ぃの髪、私が洗ってあげる」

 そういうと、奎は向き合ってすわり、ボクの頭を下げさせて髪を洗いはじめた。

 その体勢だと、ボクは眼下に奎の太ももをガン見することになる。別に、妹の太ももなんて……と思っていたけれど、顔が見えないし、何より頭を他人に弄られると、美容院でもそうだけれど、何だかこそばゆい気持ちになってくる。


「あらあら。仲良しさんだねぇ」

 メイプルがそう声をかけると、奎が「ハクションッ!」とくしゃみをする。

「奎ちゃん、風邪ひいちゃうよ。私が代わってあげるから」

 そういって、メイプルがお風呂をでて、代わって奎がドラム缶風呂に入る。しかも奎と同じスタイルで、メイプルがボクの頭を洗いだしたから大変だ。

 ボクはメイプルの太ももを見下ろす。シャンプーが多少目に入っても、これは焼き付けておいて損はなさそうだ。魅惑の三角ゾーンとて、合法的に見放題となったのである。

 さらに、奎のときには感じなかった、ボクの頭頂部の上のあたりに、何やら動く気配がする。直接、ふれているわけではないけれど、子供たちの中では神乙女に次ぐ、むしろ神乙女はそんじょそこらの大人以上、メイプルは大人並み……とされる、その大きな胸が、ボクの頭を洗うその振動に合わせるよう、揺れているのが分かるのだ。勿論、直接見えているわけじゃないし、見えるはずもないけれど、心の眼で、研ぎ澄まされた感覚で……。

「じゃあ、先に上がるね」

 メイプルはボクの髪を洗い終えると、先に小屋へともどっていった。


 奎がドラム缶風呂の中から、ボクを手招きする。

「一緒に入ろう!」

「せまいだろ……」

「大丈夫だって。ほら、お兄ぃが先に入って」

 ボクが入った後で、奎がボクをまたぐようにドラム缶風呂に入る。これまでもそうだけれど、二人一緒に入ると、お湯があふれそうなぐらいぎりぎりになって、肩までつかれる。

「さっきの、わざとだな?」

「へへへ、バレた?」

「メイプルとボクを近づけて、どうするのさ?」

「マロンちゃんが最近、おかしな雰囲気だからね。メイプルちゃんを引き込もうと思って……」

 体育倉庫の一件以来、マロンの様子がおかしいことは、奎も気付いているようだ。

「この前、初めて体育倉庫で二人きりになったからね。そこで男を感じて、戸惑っている……と思っているよ」

 そう、これまでボクはその他大勢、マロンにとっては向日葵という大きな目標があって、向日葵の後を追いかけてきたところがある。それが、恋とはちがうけれど、ボクを意識する――。

「お兄ぃに惚れる子なんて、いないだろうしね」

「ひどいなぁ……」

「私がいるじゃん!」

 奎は背中をすりすりしてくる。今はお兄ちゃん子だけれど、いずれ奎も独り立ちするだろう。今はまだ、周りにボク以外の男子がいないから、こうして二人でお風呂を愉しむけれど……。
















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