第5話 入居者編
あと少しで私は安楽死する、安楽死ならまだいいわね。
それに家族からのプレゼントだもの、今でも折り紙や好きな本を送ってくるわ、いい家族を持ったわねぇ私。
『トモミさんそろそろ時間です、今までありがとうございました、折り紙など教えていただき』
「いいのよ、私の方こそごめんなさいね。」
『責任者からのご説明があるので部屋移動しましょね』
廊下を車椅子で進む、見てきたこの景色ともさよならなのね。でも悔いはないわ。
『前回ご説明した通り、眠るように亡くなるのでご安心ください。なにか手元に持っておきたいものはありますか?』
「孫からもらった折り紙と写真を持ちたいわ」
だいたいの話は終わり、専用の清潔な服に着替えてカプセルの中へ入ったわ
『トモミさん、これがお孫様からの折り紙とご写真です』
「ありがとうね」
渡されたあと、カプセルの蓋は閉じて眼を瞑り時が来るのを待った。
「ング……クッ」
途中から苦しくなってきた、体を起こそうにも動かず。苦しむしかない。
息がしたい、苦しむのは嫌だ、誰か。
責任者さんになんとかしてつたえたい
うごいたいうごいてしらせないと
なにかのまちがいだって
『トモミさんの私物はどうしたら』
『あー、ご家族に返してきて。折り紙もできれば全て。跡形もなく』
『てかあのカプセルって本当に苦しまずに逝けるんですか?』
『あーいま専用の薬を切らしててね別の薬と混ぜたものを使ってるよ。どうせ国にはバレないさ』
『それ私たちの時も使うんですか?』
『いやじきに専用の薬は間に合うさ、安心しなって』
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