第六十一話 遠足

「うむ、空気がウマい」「空気に味なんかしませんわよ」



魔王が、両手を伸ばして空気がウマいといえば。ゆかりちゃんが、口に手をあててその台詞に苦言を指した。



小さな、背中にそこそこのリュックを背負い。


今日はアリアちゃん達は百貨店を作る時に大量に出た土に木を植えて、屋根付きベンチなどを制作した人工的な公園に遠足に来ていた。


「アリアちゃん、おやつは三百ボンまでですよ」「先生、わかってる」


そういって、事前におやつとレシートをチェック。


だが、明らかにアリアちゃんのが多い。駄菓子屋俺様のレシートを持っていたので、俺様の店長に保育園の先生が確認した所。うちで扱ってる、おやつの袋セット三百ボンで間違いないと言われ。実際に店に行ってみた所、店長の座ってるレジの横に俺様のおススメお菓子詰め合わせ一袋三百ボンが確かに置かれており。店主がお薦めの御菓子を詰め合わせたランダムな内容のものが売られていた。


なので、間違いないのを先生が確認したのでオッケーとなったが。他の子どもがそれで納得するはずがない。


ぎゃーぎゃーと喚き、親から苦情が入れられたが。都度、駄菓子屋俺様の俺様のおススメという商品であり。税込み三百ボンぴったりで約束は守られていると説明、子供の親も憤慨しながら俺様に行くがちゃんと商品は合った為顔面ハニワ。



「やられた」父や母が一言呟いて、親が子供からクレームをもらう始末。



都度、どや顔のアリアちゃん。



以降、駄菓子屋俺様の人気お菓子に。黒騎士お手製ポン菓子の他、俺様のおススメというラインナップが加わった。



適当につめる為、完全なランダムであり。当たりハズレもあるが、三百ボンは基本的に絶対回収できるライン。


問題があるとすれば、文房具やスーパーボールなどのお菓子でないものもおススメならば入っていて見えない袋にパンパンに入っているので開けて絶望する子供も多く出た。



何故、魔王はハズレを引かないかと言えば。七星天塔の嫉妬によるコピーする為の眼力強化を悪用している。


(事実として嘘は一つもないので、遠足でのお菓子は先生たちも認めざるえなかった)


ちなみに、ゆかりちゃんも同じものを買っているが。魔王の様にズルはしていない、本当に運でお菓子のみの袋を引き当てたのだ。


仲良く、スナック菓子をほおばりにっこにこのご機嫌な魔王。

ゆかりちゃんも、魔王の横に座って紅茶クッキー(ミルク多め)を頬張った。


ちなみに、ケンちゃんは辛い象という真っ赤なチップス状のスナック菓子が当たった。

子供の舌に、辛いのは大変こたえる。


なので、不貞腐れながら口直しにバナナを食べていた。


「どうした?」によによと、唇がたらこになっているケンちゃんに向かってドヤる魔王。


ゆかりちゃんも、まるで唇がナマコの様ですわと言うとケンちゃんがじっと睨む。



「あれは、当たりハズレがあるのだ。だから、あの値段で買える。外れたのは、私らのせいではない。であれば、私らに怒るのはおかしいではないか」


(ドヤァ)


※魔王はズルです、ゆかりちゃんはそれを言っても許される。でも、それを言ったのは魔王だ。アカン


それが、判らないケンちゃんは。後日の遠足日記に、おやつが辛かったと発表しクラス中に運が無いなぁと笑われてしばらく無言で不貞腐れていた。

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