第二十三話 魔王様のプール開き

「おいちに、おいちに」そういって、スクール水着のゼッケンにひらがなでまおうとかかれたものを着て準備体操をしているアリアちゃん。



ずらりと並ぶ水龍の強面達、眩しい程の筋肉質なマッチョが並んでいた。


「それでは、ゆくぞ」そういって、水龍達が一斉に水ブレスを空中にはなち。


その水ブレスに、両手と足の裏を合わせて数字の八の字になって飛び込んでいく。


そして、水龍の水ブレスの中をクロールしたり、平泳ぎしたり、背泳ぎしたりした。


実に楽しそうに泳ぐそれをみて、実は付き合わされている水龍のマッチョ達の方が心中穏やかではない。


何故なら、その水ブレスは、本来なら壁に穴をあけ木をなぎ倒しといったマジの威力の水ブレスであり。それをこの数束ねてブッパしているのにも関わらず。スク水一枚で、泳いでいるのだから。


※通常水流で二百キロも出ていれば通常の人類は容易く吸い込まれて事故ります。又、水圧で金属を斬る機械も存在します。人類と魔族は絶対真似をしないで下さい、魔王様が特殊です。



それを、満足そうに眺めているカイザードラゴン。



「俺の主はこうでなくては!」



そもそも論として、何故この様な事になっているかというと。


また、幼稚園でアリアちゃんは友達に「親父とクラーケンランド行って来たんだぜ」とか「お母さんに庭に浮き輪プールを出してもらって遊んだの♪」という友達の自慢話を聞き。


「ちちうえ、私もプールに行きたい」と言った所「お前、魔王だろ。それに、自分の人気忘れたのかよ」と言われほっぺをパンパンに膨らませたりした。


「ははうえ、私もプールに行きたい」と言った所「普通のプールじゃダメね、付与がもたないし……。アリアちゃん、明日まで待てる?待てるならお庭に用意するわ」と頭を撫でながら言われ。


(そういえば、庭に浮き輪プールを出してもらった友達は親が死にそうな顔して。汗をかきながら、浮き輪プールを膨らませて。遊んでいる間中、ふちに洗濯物の様にぶら下がっていたと言っていた)という事を思い出し。


「ははうえ、判りました、明日すぐに入れるよう準備しておきます」といいアリアが部屋を出た後。この今ブレスをうちまくっている水龍達を呼びつけたという訳だ。



※ちなみに自分がやったら、ミンチになって吹き飛ぶ事が確定していますが娘の事をきちんとヒルダリアは理解してやっています。重ねて言いますが魔族と人類には不可能です真似しないで下さい。



「やはり、ちちうえと違ってははうえはプールを用意してくれた♪」とご満悦の魔王様であるが。


冒頭の通り、普通ならばバリスタをぶっ壊したり街を破壊したりするような威力のブレスの中をめっちゃ楽しそうに泳いでいるのである。


※流れるプールを逆走するように泳ぐレベルに勘違いし、空中を泳いでいる状態になるので子供としては凄く楽しいが実現してる水龍はブレスと一緒に魂まで抜けているものも居た。


「涼しい♪ 楽しい♪」友達が自慢したくなるのも判るとアリアは思った。




ちなみに、この後。水龍達一同は、より強力なブレスを吐く訓練を頑張った事は追記しておく。


それを見ながら、水龍の長とヒルダリアはお互いに顔を見合わせてから溜息をつき。


「あれが勇者なら、我らは全滅しますな。間違いなく」

「私達には撃たないで下さいね、死んでしまいますから」



「ははうえ、このアトラクションに友達も呼んでいいですか~♪」


ヒルダリアは、にっこり笑いながら叫ぶ。


「ダメです!」と凄みのある顔でかえしたという。

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