第十六話 魔王様のピクニック
ここには、魔国の同年代の友達が集まってピクニックに行こうという話になっていて。
一般的な母親や父親は、気を付けていくんだぞ~等と明るい表情をしていた。
ちなみに、魔王様がくるまでだ。
「またせた♪」そういって、現れた魔王様は当然の様に補助輪付き自転車扱いされているカイザードラゴンで来た訳で周りのものを吹き飛ばしながら着陸。
吹き飛ばした中に、同年代の子供達や親御さんも多数含まれていた。
「アリアちゃん~、歩きで行くっていったろ~」と一人の男の子がボロボロになりながら声をかけ「すまぬ、そんな訳で先に帰ってくれ」とドラゴンに言えばドラゴンの方も「御意」とだけいって空へ戻っていった。
「全く~アリアちゃんはドジだな」と他の子どもたちも笑いながら集まって来た。
間違っても、さらわれる心配はない。むしろさらった魔族が居たら、哀れ極まる。
魔族というのは大人になれば成程、大体相手の力量がどんなものか経験でおぼろげながら判る。明らかに冗談みたいに強い相手に挑むのは「その心意気や良し!」ではあるのだが。
数人が集まって、歩きで裏山に人工的に作られた山に向かって子供達が楽しそうに歩き出した。大人たちはボロボロになりながらも、優しく手を振っていた。
「ねー、なんでアリアちゃんのママやパパって来ないの?」
「うむ、私の父は先代魔王であるからそのバカみたいな魔力で威圧してしまって話にならんという配慮らしい」
※パパンは面倒なだけデス(アリアちゃんの方がよほどヤバい)
幼稚園でも、アリアの席は基本一番後ろだ。特別席という名の隔離席といっていい、無論子供にはアリアの魔力何か見えない事の方が多いので休み時間には友達と仲良く遊んでいる事も多いのだが先生は大人だ。
「母上は、魔国の大臣の一人だから単純に忙しいのだ」働いている場所が魔王城でアリアが魔王であるためいつでも好きな時に甘えたりあいに行けたりはするが。
「そっかー、所でおやつは何買って来た?」「僕は、バニョール」「私は、チョコ」「アリアちゃんは?」「私は、これだ」そういって、アリアがリュックをあけてみんなに見せた。そこには、勇者の絵がかいてある水筒と日持ちする焼き菓子が割れない様に一枚づつ丁寧に透明なケースにいれられて振動等にも対応する花の形をした緩衝材がびっしりと詰まれていた。
「焼き菓子か~、美味しそうだね♪」「うむ、母上が作ってくれたのだ」角をフルーツで作った一角兎等をデフォルメしたもので大変可愛らしいもの。
「市販のモノではカロリーが高く、胃腸が心配であろうから果物で甘さを控えめにしたらしい。私の母上は書類に対しても、食に対しても神経質ゆえ」
それでも、母親から持たされた菓子というのは普段中々構ってもらえないアリアにとって特別なもの。
先日部屋に会いに行った時なぞ「何でこんなに不正してる官僚が多いのよ! きぃ~~~仕事増やすんじゃないわよド畜生!!」とかドアの前で叫び声が聞こえたのだぞ。
と笑いながら話すアリア、勿論意味はわかっていない。先だって全員集めて消費税を撤廃するだのなんだのの会議内容も母親のドアの前で文句をききまくって単語として知っているだけだから。
ちなみにアリアの母親はあの後めっちゃ喜んでくれて、アリアの頭を撫でまわしていたのでアリアも大変満足しているというのは追記しておく。
「アリアちゃん、今日は風も少しあるし。天気も晴れてるし、楽しいね♪」と女の子が言えば。「うむ、雨雲を無理やりどけた甲斐があったというものだ」と大人がきいていたら聞き捨てならない台詞が結構出てくるのだが。
アリアとその友達は、こうして仲良くピクニックを楽しんだ。
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