第八話 魔王様ブチ切れる
「ぜんいんここによべ」
五歳の魔王様が、今までにない程ヤバい気配を放ちながら号令を下す。
「戦場に出ているモノもおります、地方におるものもおります。集合にはどんなに我らが死に物狂いで集めても、一月は頂きたく」
その瞬間殺気だけで、それを言った官僚が地面に押し付けられる。
メキメキと骨という骨が明後日の方向にねじ曲がりながら、軋みをあげ目玉だけで魔王様をみたらいつものやる気のないほへ~とした顔ではなく。
(邪神っ!)
「手紙だけ書け、緊急で三日ほど魔王城に呼び出すと。私が謁見の間に召喚する」
「はっ!!」
そして、手紙を書き終わった側から幹部、官僚、元魔王、貴族、悪魔、龍、吸血鬼等様々な幹部が謁見の間に集まった。
呼び出された幹部は最初は、あのお子様がとか文句を言っていたが謁見の間に居る別人の様な魔王の姿と顔を見て。「あぁ……、これはヤバい」と口々にぼやく。
自身の席に座ると、あるものはハンカチでずっと色んな汗を拭きながら。
あるものは、ずっと水ばかりをガバガバ飲んでいた。
そして、全員そろった頃に魔王様が左足で床をダンとやると謁見の間の玉座を支える床にヒビが毛細血管の様に入り。魔界の重鎮は、ただその言葉を待った。
「諸君、よく集まってくれた」
歴戦の猛者でもこんな気迫はださないと言わんばかりのオーラを放ちながら、アリアがゆっくりと集まった全員の前で話し始める。
「街道の入都税を決めているものは誰か!」
「私m」瞬間魔王の手が動き、それだけで首から上がなくなってどちゃりと死んで体ごと崩れ落ちる。それをみて、一同が姿勢を一層引き締めた。
「高いっ!、今の半分にせよ。特に、食料に関しては全数検査を受けたものは十分の一にするとフレを出せ。検査にて、不正なモノが出た場合さらに裏付けをやれ。不正に手を染めたものの罰則を厳重にしろ」
新しい責任者はお前だと、その隣に座る別の官僚を指さした。
「消費税も取り消せ、それからこれは公金をぬいている連中のリストで幾ら抜いているか天下っているかをリスト化したものだ。取り逃がす事は許さん、軍と近衛は全軍協力してこいつらを生死問わず私の前に連れてこい!!」
出来るな?と魔王が言えば、「必ず!!」と言って「今から早速動きたいと思いますので、退出しても宜しいでしょうか?」と尋ねれば「一週間で結果を出せ、結果によって来年の予算を増減する。近衛もだ、いけ」と顎でしゃくる。
「さて、諸君。私が、何故お前らを呼んだか判るか?」かつんかつんと一同の前を歩きながら恐ろしい程の低音でアリアは問う。
「私は、貴族や血統等というものに興味はなく。どの様な種族であろうが、私の望む結果を出せるものを徴用する。魔族とは、実力主義であるべきだからだ」
歳や性別は関係ない、必要なのは如何に魔国を豊かにするかという事だけ。
「横領や、天下りなどやっていて国が富むかバカものっ! 入都税もそうだ、税がなくば壁がないのと同じだ。だが、それは民に迷惑かけてやるようなものではない!!」
諸君、これは警告だ。私の召喚した邪神達は常に国中を見張っていて、私に、情報を届ける。文句があるならば、反乱し私を倒して見せよ!!
前の魔王、その前の魔王がどの様な事を言っているのかは判らんが今の魔王はこの私だ。
「これから、不法にも魔族以外が魔国の土地を実効的に購入したり。様々な方法で法の隙間をつく不心得ものをぶち殺す! 私の大好きなセブンの菓子パンを法外な利息で潰した金貸しは力で引きつぶしてくれよう!」
(好きなパン屋を違法系の連中に潰された事でブチ切れて、不正してる連中を片っ端から潰すつもりだ。これでは、完全なとばっちりではないか)
幹部はそう思ったが、口には出せなかった。
邪神は腐っても邪神、神は神なのだ。
お子様であっても、魔王は魔王。逆らって、タダで済むはずがない。
それを、近衛よりも多く呼び出して顎で使っているのを見ても本気度が違う。
(変な事を言ったら、さっきの首ごと消された官僚みたいになる)
それは、ある種の確信。
魔王様は、腕を組んで仁王立ちしながらこうのたまった。
「あの菓子パン、もう一度食べたかったorz」
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