第14話 ドラゴン族との宴。マッスルバー
私達は、ランドルの話はまだ憶測に過ぎないので、今後の事を具体的に決めることにした。
「うーん…、でもリトはなんか、変なのよね」
セリスは首をかしげて私を見る。
「あなたの魔力は、こんなものではないわよね。今は年齢が若いからと思っていたけど、潜在している魔力は感じるのよね…」
セリスが言うと、
「そうなんじゃよ。わしもうまくは言えないが、まだ半分も魔力を出す事ができていないと思うんじゃ。今でも上級魔法使いの上を行く魔力量なのじゃが、もっと大きな魔力を感じるんじゃ…」
と、ルーカス。
そういえば、前もルーカスがそんなことを言ってた。
どうすればそれを解放できるんだろう。
「リト、あなたの魔力はまだ完全に目覚めていない。魂と肉体の融合が不完全なせいで、本来の力が発揮されていないんだわ」
「魂と肉体の融合…って、どうすればいいの?」
私は戸惑いを隠せずに尋ねた。
「私にもわからないわ。でも…」
セレスは、少し考えた後、
「半年後に、月と太陽がこの島の空で重なる日があるの。その日は、神聖な力が最も強くなる時なの。ドラゴン族の神殿で特別な儀式を行えば、自分の過去と向き合い、魂と肉体の融合を果たす助けになるかもしれない。試してみる価値はあるわ」
セレスは真剣な表情で私に語りかけた。
「半年後か…」
この島で月と太陽が重なる日が訪れるまで、私にはまだ時間がある。
その間に自分ができることをしようと決意した。
「ダイアンとリアムも、転生しているのじゃろうか…?」
と、突然ルーカスが言った。
うん!
それ!!
それ、けっこう気になってた!!
「私達が出会ったのも、何か運命を感じるし、私達が転生しているなら、ダイアンとリアムも転生している可能性、あるよね!?」
私は思わず身を乗り出してしまった。
ルーカスもセレスも、頷いた。
「私はこの200年。どうして自分だけが前世の記憶を持って転生してしまったんだろうって、ずっと思っていたけど、私だけじゃなかったことが本当に嬉しいわ。」
「わしもそうじゃ。もしかすると、二人にももうすぐ会えるのかもしれんな」
二人もそう思う!?
私も会いたいよ!!
ダイアン…。
リアム…!
「どちらにしても、今は戦闘力を高くしておきましょう。リトは今は修行をしても本来の魔力がまだすべては放出できないから、魔法のコントロールを中心に頑張ってみて」
とセレスは助言した。
「潜在能力を引き出すためには、まずは基本を徹底的に身につけることが大事よ」
「そうじゃな。わしも近頃怠けていたから、本格的に訓練をするぞい」
「よし!頑張ろう!」
私達は、手を合わせた。
その夜、宮殿で盛大な宴会が開かれた。
宮殿にいるドラゴン族のイケメンたちと一緒に飲んだり食べたりして楽しんだ。
いや、ホント、イケメン。
日本でもマッスルバーがあるけど、そんな感じ。
私は高校生だから行ったことはないけど、SNSで何度か見て「わー!!!」と、友達と盛り上がったのを覚えている。
ドラゴン族の宴は、私がこれまでに経験したことのない豪華で魅力的なものだった。
宮殿の大広間には、長いテーブルが並べられ、その上には見たこともない料理が次々と運ばれてきた。
ドラゴン族ならではの食材と調理法を駆使した料理の数々に、私たちは驚きと興奮を隠せなかった。
「これはドラゴンフルーツのサラダよ」
とセレスが説明した。
ドラゴンフルーツは、日本のスーパーにも売っている事があったので、一応食べたことがあったんだけど、ここのドラゴンフルーツは全く外観が違っていた。
果肉が淡い青色!
青い色の食べ物って、自然界にあるんだ…と、驚き。
甘酸っぱくて爽やかな味わいがあり、食感も独特だった。
見た目は宝石のように美しく、目でも楽しめる一品だ。
次に運ばれてきたのは、「ファイアドレイクのグリル」だった。
ドラゴンのような魔法生物の肉を使った料理で、ジューシーで濃厚な味わいが特徴だ。
特製のソースがかかっており、肉の旨味を引き立てていた。
「この肉、本当に柔らかいね!」
私は感嘆の声を上げた。
ルーカスも興味津々に食べ進めている。
「そして、こちらがデザートの『エルダフラワーのアイスクリーム』よ」
セレスが笑顔で説明した。
エルダフラワーのアイスクリームは、花の香りが漂う優雅なデザートで、口に入れるとふわっとした甘さとともに花の風味が広がった。
「こんな美味しいもの、今まで食べたことない…」
私は感激しながらデザートを味わった。
飲み物も特別なもので、ドラゴン族が誇る「ドラゴンフルーツワイン」は、果実の甘さとワインの芳醇さが絶妙に調和していた。
さらに「フェニックスティー」という紅茶もあり、その茶葉は火の鳥フェニックスの涙で作られているとされ、飲むと身体がぽかぽかと温かくなる効果があった。
「リト、ワインは刺激が強いから、フェニックスティー飲んでみて」
ドラゴン族の一人が笑顔で勧めてくれた。
「でも、飲みすぎには注意して。魔力が乱れるかもしれないから」
「ありがとう!」
私は、ゆっくりとフェニックスティーを味わった。
これも…、おいしーーーー!!
宴会は夜遅くまで続き、私たちはドラゴン族とともに楽しいひと時を過ごした。
ルナも興奮して、広間を走り回りながら他のドラゴン族と戯れていた。
「リト、これからの訓練も楽しみだわ。私は人間に魔法を教えるのは初めてなの。魔力を最大限に引き出せるよう、私たち全力でサポートするからね」
セレスは優しく微笑み、私にエールを送ってくれた。
「ありがとう、セレス。私も全力で頑張るよ」
私は彼女の言葉に力をもらい、これからの訓練に向けて気持ちを新たにした。
でも…、ちょっと怖いんだよね。
シエーナ、優しかったけど、修行内容はかなりハードだったような…。
私達に悪夢のような修行が始まるとは、この時はまだわかっていなかった…。
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